約 2,716,610 件
https://w.atwiki.jp/chinokyoudai/pages/71.html
エピック ★ 帝国貴族グラシム HP ATK DEF WIS AGI 3150 4110 3520 3450 3520 Skill:専心攻撃Ⅱ
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/178.html
河原近く。土手の頂。道路。 すえた暑気を十数mばかり挟んで相対する3つの影がそこにある。 斗貴子・剛太。栴檀香美。 『もう1つの調整体』起動に不可欠な割符をめぐる攻防は、これより佳境に差し掛かるだろう。 「行くぞ剛太!」 ハスキーな声をあらん限り振り絞ったのは斗貴子! 闇をつんざき住宅街に轟く声の中。 亡者を打ちのめす閻魔よりも傲然とッ! 獲物に向かう断食8日目の狂犬よりも早くッ! 「おおおおおおおおおおおおッ!!」 両手を腰の辺りで後ろに垂らし、斗貴子は再特攻を試みる。 周囲で銀の光を撒き散らす処刑鎌をすらりと避けて、緑の影も前へ行く。 風と振動に揺すられる鋭角的なショートボブを流し目でニヘラと盗み見たのは中村剛太。 「了解ッ!」 スケーターのようにシャッシャッなめらかに足で地を掃き、蛇行しながら向かっていく。 両者とも火中より爆ぜた栗より早く、そして苛烈。 「あいつらが何かんがえててもいいけどさー あたしはブレミュん中でいっっっちばん弱いの に、なんで2人も相手しなきゃなんないの? 2人ってめちゃくちゃ多い数じゃん」 パイプをつなげ合わせた幾何学的なしっぽが、地面をばしばし叩く。 不機嫌なネコの良くとる仕草である。 「鳩尾もそうとう弱いけど、武装錬金のおかげでかなり強いんだし、あいつが戦えばいいじゃ ん。あーやんなっちゃう」 香美は眉間へ皺寄せ眉を吊り上げ、「もー帰っていい?」と今にもいいだしそうなしかめっ面。 『愚痴るな香美! それでもお前のスペックなら遠距離近距離どっちでも問題ないッ!』 出所不明な大声に不機嫌がぴくりと蠢いた。 例えるならかつおぶしの匂いを嗅ぎつけて、期待にわくわくしているネコの顔。 『僕は以前からもこれからもずっとお前を信じている! だからファイトだ! ガッツ全開で…… いいいいけぇぇぇぇ!!!』 斗貴子に負けず劣らずの騒がしい声に、香美はややはにかんだ。 照れと元気を含んだ可憐な顔だ。 「うんニャ! ありがとご主人。あたし頑張ってみる! ってワケで……」 掌中央にある一番大きな肉球(掌球というらしい)がサイケな光と共に変形を遂げた。 ID425名前:永遠の扉 [sage]投稿日:2007/03/04(日) 23 55 18 ID oZX/jSgO0 ぼかりと大きな空洞を開け、左手のそこから空気が吸い込まれていく…… 「気をつけろ剛太! 奴は手から武器を射出するぞ!」 斗貴子はかつての経験則から迷いなく忠告を迸らせ、剛太も行動に活かす 「くらえっ!!」 香美の右手にも空洞が開くと、剛太目がけて真空の刃が射出された。 むろん彼も斗貴子も『真空の刃』などと確証をえていた訳ではない。 ただ無手の香美から瞬間的にそうと推理し、事実それは的中していた! 鈍色の処刑鎌の刃先を空気が薙ぎ、不気味なうねりと共に後方へ吸い込まれた。 「ふぇ? 垂れ目狙ったのになんであのおっかない奴に」 「避けたからに決まってんだろ」 剛太はしゃがみこんだ姿勢で左足を大きく伸ばすと、右足を軸に一回転! 踵を香美の脛にブチ当てようと試みる。 (狙うはコイツの足! 動きさえ封じてしまえば) 踵にモーターギアを着装し、機動力を強化するスカイウォーカーモード。 当然、その踵で回転する戦輪で敵の足を切り裂くコトも可能! 『当たらじ当たらじ!』 ハーフパンツからむき出しの白い脛が羽毛のように舞い上がり、その下を黒いズボンが通り過ぎる。 「なんとか避けれた」 ぶるんと左右別々に膨らみを揺らしながら、ほっと一息をついた香美だが。 「飛ぶと思っていたぞ」 頭上の気配に息を呑み、ネコ耳をはっとそばだてた。 星空へつま先を。 頭上を地面に。 それぞれ向けながら刺すような視線を送っているのは…… 斗貴子。 通常の重力を無視したありえからぬ姿勢の彼女の周囲で毅然とした金属音が響いた。 バルキリースカート。 それまでブドウと同じくだらりと垂れていた処刑鎌に攻撃姿勢がみなぎり、香美に向き直る! さながらジェットスラスターの機敏なる方向転換! ただしそれの吹く白熱は、後方よりも前方へ! 推進よりも殺戮をただ願う! 銀に瞬き空裂くそれが、それこそが! 戦乙女の切札!! 「臓物(ハラワタ)をブチ撒けろォォォォォ!!」 香美は中空ですさまじい汗をかいた。 (やば! 垂れ目の攻撃よけたばっかで自由きかない! とにかく着地、着地しないと──) 「モーターギア! ナックルダスターモード!」 下方より襲いくるうねりに、香美はとことん絶望的な気分になった。 見ればさっき避けた剛太が舞い戻り、手に何かをつけてアッパーを繰り出している。 それが打撃力強化verの戦輪用途とは知らないが、ともかく目前に死があるコトだけは香美 に分かった。 (やだ! あたし死にたくない! でもどーしよーも……) 勝気な様子は顔色とともに失って、香美はぎゅっと目をつぶった。目じりからは涙が少々。 『はーっはっはっは! この程度なら軽い! 軽すぎるぞぉぉぉ!!』 斗貴子は見た。 香美の手からヘビのようにうねる光が伸びるのを。 剛太は聞いた。 金属が群れなす独特の甲高い音を。 光は凄まじい力でバルキリスカートとがっきと絡み、そのまま斗貴子を吹き飛ばした。 「先ぱ──…」 音は踵を返したかのごとく遠方より剛太に向かい、手の甲で回転する戦輪をしたたかに打ち 据えた。間髪いれず、2個同時に。 金属越しとはいえ、剛太の手骨に鈍痛が走り、ついですさまじい虚脱感に見舞われた。 まるで神経伝達と活力を総て奪われてしまったような、行動不能の虚脱感。 しかし、剛太はこの瞬間…… まったく別の物を視界に捉えていた! 宙を舞う斗貴子である! 吹き飛ばされキリを揉み、セーラー服を風になびかせているのにスカートはまるでめくれて いなかった! (惜しい! もうちょい早かったら!) 剛太は歯噛みしながら右手を左へ掬いあげるようなポーズで指パッチンした。 手の痛みなど、見逃した素晴らしい光景に比べれば大したコトないらしい。 ……なぁ。 お前、真剣に戦えよ。 (てか、今のは一体──…) そうだ。そっちに目を向けろ。いちいち筆者にこういうツッコミをやらすな。空気が壊れる。 (ただ打たれただけなのに、あの虚脱感はなんなんだ) 剛太はかつて海豚海岸で味わった、異様な経験を思い出した。 エネルギードレイン。 皆さまはヴィクターを覚えておいでだろうか。 日露戦争当時、蝶野爆爵と邂逅した異形の男。 彼は元々錬金の戦士だったが、賢者の石の試作品たる『黒い核鉄』を身に埋められ、怪物へ と変貌を遂げたという経緯がある。 そして彼が身につけたのが、エネルギードレイン。 他者他生物の生命エネルギーだけを吸収する恐るべき能力──…いや。 本人曰く”能力”ではなく”生態” 呼吸と同じく自らの意思では止めようがない。断ちたいのならば殺すほかない。 ヴィクターならびに、ヴィクターIIIこと武藤カズキが 「存在(い)なるだけで死を撒き散らす怪物(モンスター)」 として再殺の憂き目にあったのは、その忌むべきエネルギードレインによる。 そして剛太も海豚海岸で、気絶中のカズキにエネルギードレインをされた経験がある。 一瞬で2~3km走ったような疲労。 剛太評ではそれだけの虚脱があった。 (けど、今のは一瞬だけ。あの時のような疲労はねェ。……一体なんだったんだアレは?) 「ご、ご主人。ありがと」 『礼など無用! わずかばかり僕の武装錬金を使っただけだ!! しかし手ごわい連中だ! これはいよいよ僕の出番かな!? さー注目!! 今から』 剛太、そして香美。 彼らはこの一瞬にして苛烈なる攻防への疲労と疑問に、気付いていなかった。 足元に亀裂が入っていたのを。 地中より何かが出現するのを。 離れていた斗貴子だけ、いちはやくその異変を察知した。 「剛太! その場を早く!」 金切り声をあげた瞬間! アスファルトを吹き飛ばしながら、巨大な半円状の金具が勃興した! よく見れば金具から地下に向けて太い支柱が伸びており、まだ全容を現していないのが見て 取れる。 そして支柱は金具ともども、バネ仕掛けのように跳ね上がり! 剛太と香美を乗せたまま、すさまじい放物線を夏の暑気に描いていた! 「な、なに?」 (ダメだ! 加速が強すぎて!) 胸板を押しつぶし、肺腑から呼気を搾り出すGに苦悶を浮かべつつ。 剛太は香美ともども空へ飛ばされていた。 その方角は──… 山。 当初の目的たる場所に向かって2つの影は猛然と弾かれ、やがて流星のように見えなくなった。 「へ、へへ。案ずるより産むがなんとか。どーにかバレずに分断できたぜ」 少し離れた橋の下で、緊張の青色吐息をつく男がいた。 衣装はドクロが描かれた赤シャツ。背は高いが痩せぎすり、血色も青紫とかなり悪い。 釣り上がった目の下にはピアスが打たれ、薄汚い銀髪と併せてみれば到底堅気には見えない。 ホムンクルス佐藤。 L・X・E残党の1人である。 「逆向の奴から戦士とブレミュの奴らの戦いに割り込んで、消耗させるよういわれているから な。どうにかコレで任務完了。へ、へへへ。使い勝手悪いがよぉ、こういう使い方はありだろ?」 1人残された斗貴子の前から、謎の支柱と金具は消え、代わりに佐藤の掌に核鉄が現われた。 「投石器の武装錬金、フレクスビリティーオズ。コレが地中に潜行させれて良かったぜ……」 恐ろしそうにブルブル身を震わせながら、佐藤はそーっとそーっと斗貴子のいる方を見た。 「んで、俺は直接対決するつもりはない。恐ろしいからな。へ。へへ。代わりに」 斗貴子は川の向こう岸から無数の殺意が走ってくるのを感じた。 「敵ッ!」 さすが歴戦だけあって気が早い。 相手の正体を視認する前に土手から飛び降り、河原に着地するまで2~3体手当たり次第 にブチ撒けていた。スカートを抑えながら。 「チッ。有無をいわさずかよ、相変わらずよぉ~!」 「だがテメーは1人。こっちは50体ばかりいるんだ」 斗貴子の周りに黒い影がぞろぞろと歩み寄る。 「逆向曰く、『野良』の連中。俺らに加わらなかった奴らを呼び寄せておいた。ま、半端なく胸 が痛むけどよぉ…… 俺らだって生きたいから捨て駒になってくれや。消耗させさえすりゃ、 後は浜崎が料理する。 できればあの戦士を斃して欲しいが、ま、無理だろーな」 佐藤は何度か振り返ると、夜の闇に溶け込んだ。 「L・X・Eの残党か。早く剛太を追わなければならない時に……!」 服装も人相もまちまち、けれど「柄が悪い」という点で一致している周囲を見据えて、斗貴子は 不愉快そうに呟いた。 「そうだよ! てめーともう1人に潰されたL・X」 最前列で悪態をついた奴は、本当に不運だった。 言葉半ばで顔をナナメに斬り落とされたのだから。 「ホムンクルス風情が……思い上がりもはなはだしい」 唾棄するような調子で斗貴子は敵どもをねめつけた。 夏だというのに、凍えるような緊張が河原に満ちて、残党たちは一瞬気押された。 「頭数を揃えれば私に勝てるとでも?」 斗貴子は、フっと笑みを浮かべた。 普通、笑みというのは相手に親愛を伝えるものだと思われがちである。 だが。 笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である。 包囲する敵の中へ斗貴子が躊躇なく足を踏み入れると、その分だけ包囲網が薄まった。 気迫に圧された? いや。そんな生ぬるい状態ではない。 斗貴子が足を踏み入れる周囲3mでは、銀の光がざんざんと降り注ぎ、音の数だけ。 頭が。 手が。 足が。 耳が鼻が指が脳漿が眼球が。 ホムンクルスのパーツが宙を舞う。 残党たちは冗談のような光景に息を呑むと、乾いた笑いを浮かべて後ずさった。 モーゼの十戒? いやあれは海を神通力で裂いただけ。ここまで残虐非情な実力行使じゃない。 「なぁ。やっぱり復讐とかやめにしねーか?」 「だ、だよなぁ。そういうのって」 やめた方がいい。いいかけたホムンクルスの胸にバルキリースカートが刺さった。 「逃がすと思うのか? 確かに剛太の行方も気になるが、こちらが先決だ」 あがあがと口を開閉する断末魔を楽しそうに見納めると、斗貴子は再び残党たちを見渡した。 「住宅街が近いからな。貴様たちを見逃せば、必ず被害が出る」 一座からはしないしないごめんなさい許してという声がちらほら上がったが、斗貴子は黙殺した。 「さあ来い! オマエたちを殺して残党を全滅させて、ネコ型ホムンクルスの女をブチ殺して、 この街を守り抜いてみせる! 敵は殺す!! ホムンクルスは全て殺す!」 もはやどちらが怪物か分からない。 心なしか、爆爵の玄孫のセリフ(2巻P189)も混じってる。 女性とは思えぬ兇気に浸る斗貴子に、残党たちはやけを起こして襲い掛かった。 「ど、どうせ無抵抗でも死ぬんだ! なら徹底的にやってやる!」 「そうだ! それでこそ化物! 臓物(ハラワタ)を……ブチ撒けろォォォ!!!」 千歳は、唖然としていた。 鳩尾無銘という敵の登場の瞬間。 彼女はすぐ目線を切り替えた。 そうだろう。 彼女の武装錬金は、相対した者を捕捉できる。 斗貴子と剛太をレーダーに映していたのだって、彼女らが香美に最接近した瞬間、敵を捕 捉し、割符探しが円滑に進むよう策を練るつもりだったからだ。 と同時に、そういう婉曲な手段を取らざるをえなかったのは、千歳の能力が既に敵に知られ ており、ブレミュ一同がことごとく千歳の前に姿を現さなかったせいである。 だが無銘は現われた。 そして千歳は瞬間移動能力も持っている。 ならば。 戦う必要はない。 敵を捕捉したコト自体を最大の戦果として引けばいい。 そういう作戦遂行上の柔軟さを、千歳は7年前の大失態と引き換えに得ている。 もちろん、敵だって千歳の考えを読んでいるというのも織り込み済みだ。 敵の初手は瞬間移動の阻止。 そこまでは読んでおり、実際に無銘は猛然と踏み込み殴りかかってきた。 千歳は、初手に防御を選んだ。全身全霊をつぎ込んだ防御を。 ヘルメスドライブの筺体は非常に硬質であり、楯としても使用可能。 先ほど鉤縄を防いだように、拳を受け止め、相手がたじろぐ一瞬に瞬間移動を行う。 それだけで、千歳の追った役目は果たされる……筈だった。 が。 殴りかかった無銘はたじろぐ様子もなく、ただ自らの拳の形にへこんだ楯を物憂げに見つめ。 わずかばかりそうしてから、くるりと踵を返しこう呟いた。 「終わりだ」 …… 千歳は、唖然としていた。 ヘルメスドライブが瞬間移動を選択していたからだ。 ”千歳自身の操作によらずして” ”勝手に” ”意思を無視して” ヘルメスドライブが瞬間移動を選択していたからだ。 行き先は、千歳にすら予測不可能。ヘタをすれば生命に関わる場所へ行くかも知れない。 彼女の姿はその場から掻き失せ、後はのしのしと歩を進めていく。 「第一の任は遂行。次は──…」 黒装束の巨体は愉悦すら浮かべず、のしのしと森をすぎていく
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/44.html
(0) 暗闇。 暖かな液体に包まれている感覚。 聞こえる音は、心音と小さなモーター音。 目は開かない。 いや、開けたくない。 開けてしまえば、また、あの光景が目に映る。 恐怖。 ここに居る限りは安全な筈。ココは世界で一番安全な場所。 でも、同時に、死と隣り合わせの場所。 何故ワタシはココに居る? 何故ココに生まれた? エメラルドグリーンの培養液が緩やかに対流する中、脳裏に電気信号が走る。 ああ、イヤだ。 目が開く。 恐怖が視界に広がる。 痛い、苦しい、熱い――。 脳ミソが鷲掴みにされ、捏ね繰り回されているかのようだ。 ココは子宮と同じ筈。 世界で一番安全な場所の筈。 なのに何故、ココにはこんなにも苦痛で溢れている? (1) エルツは汗と埃に塗れた栗色の前髪を片手でかき上げながら空を見た。 日はまだ高い所にあり、その日差しは熱く鋭い。 瀬名龍也率いるヴァドル部隊の初陣――鋼獣土竜型との戦闘に勝利してから2時間。彼女は丁度、 仲間達と無事に第十六都市へと帰還を果たした所だった。 エルツはパイロットスーツの胸元を大きく開き、バタバタと仰いで涼を取っていた。 ゴム質のパイロットスーツは厚手で異様なまでの伸縮性を持っており、着心地は悪くないが、高い防寒性の為に、 この様な直射日光の下では直ぐに蒸し暑くなってしまうのだ。 エルツがスーツの内側に風を送る度に、彼女の二つの未成熟な膨らみがチラチラと覗く。 しかし、彼女はソレを気にする様子は無い。 エルツはハンガールームと呼ばれるヴァドル専用の格納庫の前に腰掛けている。巨大なシャッターは半分ほど 閉じているが、それでも、エルツがジャンプをしたくらいでは手が届かない高さまで開いていた。 ハンガールームの中は慌しく、特に半壊している二号機の修理が最優先で行われていた。 メカニックは人間が7割、ヒューマニマルが3割と言った所で、その先頭ではヴァドル部隊の隊長である瀬名龍也が、 50人近いメカニック達にそれぞれ的確な指示を出している。 「瀬名さん、疲れて居ないのかな……」 龍也の後姿をボンヤリと見つめながら、エルツはポツリと呟いた。 ヒューマニマルの自分でさえ、ヴァドルとの接続を切った後に時間差で襲ってきた疲労感に参っているというのに、 目の前の男は一切その様な素振りを見せないのだ。 龍也はパイロットスーツを半分だけ脱ぎ、上半身裸の状態でいる。 高温多湿のハンガールーム内を何度も右往左往し、指示を出している彼は、頭から滝の様に汗を流していた。 鍛え抜かれた逞しい筋肉が汗によって輝やいている。 そんな龍也を眺めて居る内に、エルツはいつの間にか自分の尾が嬉しそうに振られている事に気付いた。 自分の気持ちを素直に代弁してくれる尻尾に対し、エルツは少しばかり困ったような表情を浮かべた。 エルツ自信は全く自覚していないが、彼女はどうやらこの瀬名龍也という男に好意を持っているらしい。 龍也の傍に居たい、あるいは龍也に触れてみたいと考えている時に限ってこのように尻尾が振れているのだから、 人を好きになるという事は、この様な思考状態にある事を指すのだろうとエルツは客観的に考えている。 通常ならば、感情を抑制されたヒューマニマルは”好き嫌い”の概念が希薄だ。 戦争をするに当たっての不要な感情を持たないからこそ、冷静で的確な判断が下せる。戦争をする為に生み出され、 荒野で死ぬ事が運命のヒューマニマルにとって、その様な感情は元より必要ないのだ。 しかし、エルツは、珍しい事に”好き”という感情が制御されきれて居ないらしい。 もっとも、その事自体に意味は無い。生まれてくる際に、何らかの要因があって制御し切れなかっただけの事だ。 他のヒューマニマルには無いモノを持っているという事に、エルツは負い目を感じていない。 ソレは確かにヒューマニマルという種には不要なものかもしれないが、持っているからと言って、戦えなくなる訳ではない と彼女は考えている。 そして、胸の奥で静かに鼓動するソレは不快では無く、むしろ心地良さすらあるのだ。 龍也の背中をボンヤリと眺めている間、彼女の尻尾は常に左右に振られていた。 (2) 「くそっ!」 頭から熱いシャワーを浴びながら、リートは腹立たしげ声を上げて壁を殴りつけた。 ミシリと重く鈍い音を立て、シャワー室の壁のタイルにヒビが入る。 シャワー室には彼女以外に誰も居なかった。 つい先程までディーネが一緒だったが、彼女は「用事がある」と言い残し、シャワーを浴びると早々に出て行った。 俯いたリートの鼻先や顎から滴り落ちる水滴が、彼女の大きく膨らんだ胸で跳ねる。 その胸の内側で渦巻く理解不能の何かが、彼女の苛立ちの原因だった。 自分が何に悔しがっているのかすら解らない。 しかし、自分がこうなった要因は分かっている。 (アイツだ。あの、瀬名龍也という人間――) 思い起こせば、あの男とであった瞬間からこの苛立ちは始まっていた、とリートは考える。 この不快感、苛立ちの原因は分からないが、あの男との接触によるものなのは間違いが無い。 リートは人間を嫌っている。 偶然な事に、リートもまた、エルツと同様に感情の抑制がされていない。 しかも彼女の場合は、エルツの様に”一部の感情”が抑制状態に無いのではなく、”ほぼ全ての感情”が抑制状態に無い。 その感受性は、殆ど人間と変わらない。 (何故自分達ヒューマニマルが、人間の言いなりにならなければならないのか) (何故自分達ヒューマニマルが、人間の代わりに戦い、死なねばならないのか) (何故人間は、無能の癖に、ヒューマニマルに対し傲慢な態度を取るのか) (何故人間は、ヒューマニマルと共に荒野に出て戦わないのか) (何故――) 再生暦119年にヒューマニマルが生み出されて以来、現在までに構築された、人間とヒューマニマルとの関係が、リートには理不尽で仕方が無い。 リートが人間を嫌うのは、人間の、ヒューマニマルを物として見ている言動と、自分はリスクを背負おうとしないその態度にある。 (ああ、そうか……) リートは気付いた。 あの男は、”人間でありながら荒野に出て、鋼獣と戦っている”。リートの中の「人間」という存在に当てはまらないのだ。 今日の鋼獣土竜型との戦闘だってそうだ。 リートの独断での行動により、二号機は中破。 彼自身も土竜型に喰われかけたというのに、あの男はリートに一切の処罰与えないどころか、ソレを気にした様子すらない。 彼女の知る人間ならば、真っ先に嫌味を吐き、ここぞとばかりに普段の彼女の単独行動癖を叩いてくるに違いない。 しかし、彼は違った。 ただ無言でリートの瞳を覗きこみ、全てを見透かしたように小さく鼻を鳴らしただけだ。 今の所、ヴァドルを中破させた事も、命令無視の上の単独行動も、一切の処罰を与えられていない。 そして、あの目――。 (幾つだ? 幾つの感情が混ざっている?) 瞳を覗きこまれた時に感じた、背筋に寒気が走るほどの強烈な”何か”。 考えるほどに、胸の内側の何かが刺激され、激しく渦を巻き、不快な思いをさせる。 リートはシャワーを止め、ノロノロとした動作で水を吸って重くなった尻尾を絞る。 普段ならば、炎の様に赤い毛の尻尾からボダボダと水滴が滴り落ちる度に、自分の中にある不純物が零れ落ちていくような心地良さがあるのに、 この日に限ってソレが無かった。 「判らない……」 この思考の末に、自分がどの様な答えを求めているのかが。 瀬名龍也という男が何を考えているのかが知りたい? 彼を理解する事で、彼自身と何かを共有したい? 彼は人間なのに? いや、人間だから故か? 彼にしてもらいたい? 何を? 物理的接触? それとも、ただ単に、自分の望む言葉をかけてもらいたいだけ? (わからない……) 正体不明の苛立ちの中、リートはゼンマイの切れかけた人形の様にゆっくりと天井を仰ぎ見た。 (3) ハンガールームの喧騒が落ち着いた頃、外では既に日が沈み、冷たい風の吹く漆黒の闇に包まれていた。 メカニックはその殆どが引き上げ、ハンガールームには人影が殆ど無い。 巨大な鉄製の台座<ハンガー>に鉄の巨人が5機、吊るされる形固定されている。 その内の1機、02とプリントされた機体だけは、上半身と下半身が分断された姿をしていた。 ハンガールームの片隅に設置されたプレハブの中に、1人の男がコンピューターを無表情で操作していた。 男の名は瀬名龍也。ここに吊るされている鉄の巨人ヴァドルのパイロットの1人であり、部隊の隊長である。 プレハブは6畳ほどの広さであるが、敷き詰めるように並べられた机とコンピューター類によって、その大半が埋められていた。 おそらく、4人もパイプ椅子に腰を下ろせば身動きが取れなくなるであろう。 龍也はコンピューターのスロットに挿入していた携帯端末を抜き取り、自分の懐に戻した。 仕事に一区切り付いたこともあり、彼は無意識の内に深い溜息をついていた。 プレハブの窓からハンガールームの様子を窺うと、最後のメカニックが各点検を終えてシャッターを潜って出て行くところであった。 これから6時間の休憩を挟み、再び修理メンテナンスを再開する予定である。 プレハブ内は狭かったが、エアコンが取り付けられている為に室内は快適な温度に設定されている。 横になれずとも、このまま目を閉じていれば、午前中から激務であった龍也は直ぐに深い眠りに落ちてしまうだろう。 「ココならば、あと5時間は誰も来ないか……」 小さく呟き、龍也はゆっくりと目を閉じた。 途端にドロリとした感覚が首筋を伝い、全身を包み込んでいく。 五感が殆ど効かなくなり、ズブズブと溶けた鉛に飲み込まれてゆく様な感覚だけが脳に伝わってくる。 龍也はこの感覚が好きではなかった。 まるで自分が死んでいるのだと錯覚するからだ。 しかし、彼の思いとは裏腹に、肉体はソレを喜んで受け入れていた。極限まで疲労した肉体は、数十時間ぶりの睡眠に狂喜している。 (5時間……5時間だけだ……) 何度も自分にそう言い聞かせながら、龍也の意識は暗闇に飲み込まれた。 (4) ディーネは第十六都市自衛軍本部の二十五階の廊下を歩いていた。 毛足の長いカーペットが敷き詰められた廊下には他の人影は無い。 長官室と書かれたプレートの掛けられた部屋の前に立つと、程無くしてドアのロックが開く音がする。 「失礼します」丁寧に頭を下げ、ディーネは入室した。 「いらっしゃい、待っていたわ」 部屋の奥のデスクに腰掛けていたこの部屋の主である女性は、ディーネを笑顔で迎えた。 彼女の名は天沢香織。 この第十六都市を管理する自衛軍のトップに立つ人間であり、同時に『新人類派』と呼ばれる、ヒューマニマルに人権を求める立場の数少ない人間でもある。 日本には現在全部で十六の都市があり、それぞれの都市を長官が纏めていが、無論、彼女以外に長官という立場でありながら新人類派の人間は存在しない。 本来ならばヒューマニマルを道具として扱う立場の自衛軍に、新人類派は存在してはならない筈なのだ(組織の言動に矛盾が生じる為)。 しかし、天沢香織という人物はソレを堂々と公言している。 三十代半ばの、まだ若々しい容姿をした(美人というよりも)可愛らしいその長官は、部屋に入ってきたディーネの姿を見て少しばかり驚いた様子を見せた。 ディーネは、スカートタイプの軍服に身を包み、髪を一切縛らずにいた。 普段の彼女は有事の際に即行動出来るように都市迷彩の軍服を纏い、髪を後頭部で纏めている事から、現在のこの姿は非常に珍しいと言える。 「どうしたの、その格好」ニヤニヤと目を細めながら香織はディーネに訊ねた。 「瀬名隊長の命令……というと少々語弊がありますが」 ディーネは第十六都市に帰還してからの出来事を簡潔に説明した。 「提出した報告書の通り、二号機が中破しました。フレームは無事でしたが、人工筋肉と擬似神経が駄目になったので、新しいパーツと取り替えている最中です。 ソレに伴い、二号機の修理と他のヴァドルのメンテナンスが完了するまでの間、休養を取れと隊長に命令された訳です」 「なるほど、それでその格好……」 香織はもう一度「なるほど」と呟き、腕を組んだ。 要は暇な訳である。 それも、あえて出撃まで時間がかかる服装に着替えてしまった程に。 ヒューマニマルは連続で6時間以上の休養を与えられる事が無い。 彼女達は人間よりも短い時間で体力の回復が可能であるし、荒野に出て鋼獣を狩らずとも、都市を防衛するという重大な任務を抱えている。 人権を持たない彼女達は、それこそ家畜同様に扱われているのである。 もっとも、ヒューマニマル自信も、ストレスに強く、不満などの感情を強く持たない事もあり、その事自身に問題はないようだ。 香織からすれば、この様な現状が認められていること事態が異常なのであるが、鋼獣との戦況がやや劣勢であり、慢性的な人員不足にある現状を考えれば、 仕方のない事だと渋々耐えている。 故に、香織はヒューマニマル達の一番の娯楽である食事に関しては、特に力を入れている。 一般市民からは「ヒューマニマルの食事にしては豪華すぎる」との不満の声が度々上がるが、都市を守っているのは他でもない彼女達なのだからと、 その不満に対応している。 「隊長には、この休養自体も任務の一環なのだと言われまして」 「普段なら待機中にする細かな仕事も禁止されていると」 「はい」ディーネは苦笑しながら頷いた。 「それじゃあ、仕方ないわね。隊長の命令に従わないと」 悪戯っぽく笑う香織に、ディーネは困ったような表情を浮かべて唸った。 「ところで……」 他愛の無い話を一通り済ませた所で、香織が真面目な顔で切り出した。 普段は笑みを絶やさない、軽いノリの彼女ではあるが、こういった際の切り替えは驚くほどに早く、きっちりしている。 まるでスイッチが切り替わったかのような香織の雰囲気の変化に、何年もの付き合いで慣れたディーネですら、偶に戸惑う時がある。 「瀬名龍也くんの事だけどね」 香織はデスクの隅を叩き、エアディスプレイ(空気中に投影されたホログラムのディスプレイ)を出すと、デスクに内蔵してあるキーボードを 操作して一つのファイルを開いて見せた。 「新第一都市自衛軍の総合データベースから調べてみたんだけど、怪しい点は無し」 「戸籍も、ですか?」眉を顰め、ディーネが訊ねる。 「ええ、戸籍も。実在するわ。勿論、DNAチェックも問題無し。彼は正真正銘、瀬名龍也って事になる」 「……そう、ですか」 「納得いかない?」 「……わかりません」ディーネは首を横に振った。「ただ、なんと言うか、納得できない事が多すぎるんです」 「ソレについては私も同感よ」 香織は自ら淹れた紅茶を啜りながら頷く。 「貴女達ヒューマニマルが鋼獣と戦うようになって以来、人間は種を絶やさない事を第一にするようになった。 ソレは40年ほど前、丁度ヒューマニマルが荒野に出るようになった少し後の事。 諸外国との連絡が一切取れなくなり、コレを”日本以外の国が滅びた”と自衛軍は考えたから。 人間はもう、日本にしか存在しない。人間は例え一人でも数を減らしてはならない。 その考えが強まり過ぎ、歪になって、今のヒューマニマルを軽視している悲しい現状を作り上げた訳ね」 「ですが、瀬名隊長は荒野に出て、自ら鋼獣と戦っています。それも、自らを囮にするという危険な作戦まで立案して――」 ソレは酷く不自然な話である。 自衛軍の思想では、ヒューマニマルに「人間の代わりに戦い、死ぬ事」を任せて居る人間は「絶対に死んではならない」義務を負っているらしい。 ならば何故、瀬名龍也という人間が荒野に出向き、鋼獣と戦うなど以ての外だ。 「しかし、総官は彼をココに送ってきた。ヴァドルを正規採用するか否かの試験運用部隊の隊長として……」 それに何の意味があるのだろうか? (考えるとするならば、荒野に”何か”あるのか、彼が荒野で戦う事に意味があるのか。 前者の場合は、ヒューマニマルに触れさせたくない物、あるいは動かせない程に大きくて人間にしか扱えない何かが、この第十六都市付近の 荒野に存在する事を意味する。 後者の場合、意味を成すのは”荒野で彼が死ぬ事”かしら? でも、彼が死ぬ事で何が変わる?) 香織はカップで揺れる紅茶を眺めながら、思考の海に深く潜っていく。 無数に浮かび上がる可能性を一つ一つ吟味し、選り分けて、自分の仮説と関係のありそうなワードを幾つか掴んで、水面へと上昇する。 (やはり、彼自身よりも、”上”の方を調べるべきかしらね……。気は進まないけど、もう一度あの狸親父と腹の探り合いをするしかないか) 考えを纏めた香織は紅茶を一気に飲み干し、ディーネに向き直った。 「ディーネ、貴女にはコレまで通り副隊長として瀬名くんを補佐してもらいます」 「はい」 「彼に気取られない程度でいいから、目を光らせていて。もし何か気付いても、私に報告するまでは彼の指示に背く事はないようにね」 何かあった場合は後手になるけれど、と彼女は心の中で付け加えた。 それでもなお現状維持を決めたのは、エルツ同様、香織自身もまた、瀬名龍也が悪人でない様に思えて仕方が無いからだ。 今、香織がすべき事は、瀬名龍也の……あるいは瀬名龍也を背後から操る存在の真意を掴む事なのだ。 ソレがハッキリするまでは慎重に行こうと香織は考えている。 ↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます) +... 名前
https://w.atwiki.jp/olgn/pages/460.html
《四足を持つドラゴン》よつあし- 星4/風属性/ドラゴン族/攻撃力1600/守備力1100 このカードの召喚、特殊召喚に成功した時、このカードにカウンターを一つ置く。 このカードのカウンターを一つ取り除くことで、フィールドに存在するカードを1枚破壊することが出来る。 このカードにカウンターが無い場合、このカードの攻撃力は500ダウンする。 召喚、特殊召喚に成功した場合にスペルスピード1の《サンダー・ブレイク》を打てるモンスターだが、その後は全く役に立たないモンスターになってしまう。 また《奈落の落とし穴》などにもかかるステータスになっており、こういった点でも厄介。 逆に墓地から特殊召喚する手段としては《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》といったカードの恩恵を受けられ、下級の層が薄かったドラゴン族には朗報と言えるだろう。
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/682.html
キジ科キジ目ニワトリ。 祖先は諸説あるが、現在ではアジア南部~東南部に生息する「セキショクヤケイ」が有力視 されている。(秋篠宮文仁他 「ニワトリの起源の分子系統学的解析」など) 紀元前七~六世紀にはすでに家禽化されたものがメソポタミアに渡来し、紀元前六世紀頃 にはエジプト人の遠征から置き去りにされる形でギリシアへ、日本へはこの島国らしく大陸を 経由し、縄文時代後期~晩期(紀元前二十~十世紀)ごろ伝来。 ニワトリといえば「鶏鳴狗盗」の故事で孟嘗(もうしょう)君の食客が真似たような、夜明けに 高く鳴く姿が印象的であるが、その姿は古代、闇を制する光を持たなかった頃の人類によほど 鮮烈であったらしい。古代西洋のほとんどの国で太陽神がらみの「聖鳥」として、また中国にお ける陰陽説では「陽」の存在として、何かと恭しく扱われている。 ゾロアスター教において雄鳥は「悪党から善を守るシンボル」であり、ローマにおいては戦争 の行方を占う大事な役目を課され…… ライオンさえこの鳥を恐れる。 とまでいわれていた。 ギリシャにおいても「ペルシャ鳥」と呼ぶこの鳥に穀粒をついばます変わった占いがあり、ま た「けたたましい鳴き声」をエロティックとするむきもあり、愛する少年に生きた雄鳥を贈る風習 が流行した。闘鶏に至っては隆盛が高じそのルールがボクシングに応用できるほど整備され たという。なお、中国における闘鶏は「陽と陽の対決」であり非常にめでたい。 日本におけるニワトリもまた神としてあがめられ、例えば北関東から東北地方における鶏足 神(ニワタリガミ)などは小児の咳や百日咳に対して霊験あらたかと信じられている。 さて、そんなニワトリを前漢期の「韓詩外伝」評して曰く…… 「鶏に五徳あり」 直撃・ブラボー拳。鐶が攻勢に転ずると見るや防人は一気に踏み込み殴りかかった。 「頭に冠を頂くは文なり」 鐶はその拳に頬をすりつけるようにして飛び込んだ。ちりちりと火花が散り金属の焼ける匂 いが立ち込める中、ふくよかな頬を削ぎ落された少女は正に防人へと密着した。 「足に距(けづめ)を持つは武なり」 伸びきった腕。それを肩口の辺りで掴んだ鐶は無造作に防人を放り上げ、そのまま上段後 ろ回し蹴りを敢行していた。ただの蹴りならばまだいい。しかしの彼女の膝の裏には三十セン チはあろうかというおぞましい距(けづめ)が生えており、しかもその軌道は如実に防人の目を 狙っていた。絶対防御のシルバースキン。しかしその顔面は視界を確保するためのわずかな 隙間が開いている。よしんばそこに当たらずとも距(けづめ)一点に集中した力はそれなりの 打撃を防人にもたらすであろう。 それを見過ごす防人ではない。投げられた衝撃で悲鳴を立てる肩に脂汗を流しながら無数 の拳打で迎撃に映った。粉砕・ブラボラッシュ。先ほどと違い足一本に集中したせいか、鐶の くるぶしからアキレス腱、膝裏、大腿部の中ほどまでが粉々に砕け、その音に促されるように、 斗貴子と根来が斬りかかり、剛太と桜花の手元から円や線の光芒がきらきらと放たれた。 「敵前にあって敢えて闘うは勇なり」 防人は覆面の下で愕然と目を剥いた。 鐶は片足の破壊に怯むどころかその衝撃を利して右足による飛び後ろ回し蹴りを放ってい た。蹴り自体の威力はシルバースキンを突き破るほどではない。だが、防人の脇腹に接触し た足は鋭い爪も露な猛禽類のそれになり、筋骨隆々の戦士長をまるでウサギ扱いのようにわ しりと握りしめた。同時に鐶の両手は翼へと変じ、短剣を掴んだまま大きく羽ばたき舞いあが る。そこへ躍りかかった斗貴子と根来、弾丸のような飛翔の強烈さになすすべなく吹き飛ばさ れ、地上へと落下した。矢と戦輪に至っては、風圧で地面に叩きつけられたから問題外。遅刻 組二人はただ茫然と鐶の垂直飛翔する見送るばかりである。 「食を見て相呼ぶは伝なり」 周囲にまとい攻撃加えるカラスを「かぁかぁかぁ」と何やら呼びかけながら鐶は垂直に飛び、 二、三度周囲を見渡すと高層ビルに突進。防人を斜め下へ突き出すような格好をしながら、 外壁に押しつけ屋上から地上に向って一気に落下を開始した。防人の自重と鐶の膂力、そし て重力。遠景は彼を起点にすれば高速エレベーター顔負けの速度で上に流れゆき、金に輝く 硝子とくすんだ灰塵が外壁滑る銀の肌から交互に舞いあがる。 ビルの外壁はダンゴムシの 背筋のような破壊痕と半透明のささくれに彩られ、シルバースキンは墜落途中の飛行機のよ うに揺れに揺れ。 「夜を守って時を失わぬは信なり」 やがて防人は地面に叩きつけられた。 「私が……裸足の理由。それは変形の……ためです。靴を履いていると……破れます」 突っ伏す銀の防護服を足元に一度人間形態に戻った鐶は、がくりと左へよろけた。見れば 先ほど粉砕された左足はまだ回復しておらず、鳥の彼女としてはやや皮肉だが「カカシ」のよ うな状態である。 そのカカシから道路一本挟んだ向こうはどうやら色欲絡みの繁華街らしく、色とりどりのビル 袖看板が見えた。毒々しいそれらを邪魔そうに斗貴子が雑居ビルの間隙を飛び交い接近中 なのも見えた。彼女の足元で手を取りあい疾走する剛太と桜花も。昼時というコトもあり、他に はほとんど人がいない。居ても斗貴子の形相に怯えて逃げ去っていくから、実質的に一般人 は皆無といえた。 少し考えた鐶は左手だけを鳥の足へと変形させ、それで地面を削るように斗貴子たちへ疾駆 した。身が震える思いをしたのは桜花だ。御前に至っては艶やかな黒髪の背後で魂の汗を股 ぐらの付け根からほとばしらせた。 左足欠損による左手右足の疾駆。それは異常過ぎた。たおやかな少女の裸足が泳ぐように 地面をぺとつく一方、機械のような左手の禍々しい爪がアスファルトの破片を後方へ巻き上げ ながら轟々と運動する。かといって鐶はあくまで人間が走るような姿勢であって四足獣の走行 はしていないのである。左手は直立不動で掌が地面につくほどに伸び、松葉杖の代用品程度 の淡々さでアスファルトに爪痕をつけ、砕き、黒い破片を巻き上げている。 淡々というが証左は何か。少なくても桜花はそれを鐶の無表情に求めた。鐶はあくまで蒼い スターサファイアを思わせる瞳に一切の感情を浮かべず、バンダナにも「絵に描いたような」ニ ワトリの顔しかなく、ただ赤い三つ編みを風になびかせながら走っている。いかなる喜怒哀楽 もそこにはない。ないからこそ御前は身震いした。鳥というが鐶の瞳はまるで鮫。表情がない。 人形の目そっくりだ。 「忍法月水面。……」 赤いつぶてが雷光とともにばっと放たれたのは、斗貴子たちと鐶がちょうど道路一つ挟んで 向いあった時の話だ。爆走する鐶が「?」と首を傾げた頃には半紙大の赤紙に展開したつぶ てが無表情にべちゃりと接着し、目と鼻を塞いだ。 さしもの爆走もなりを潜め、鐶は突如として深黒晦冥に陥った世界への戸惑い赴くまま、顔 に貼りつくその紙を引っ張ったり端をつまんだりして剥がそうと試みた。だが剥がれない。恐る べきコトにホムンクルスの高出力を以てしても剥がれないほどの粘着力を帯びているらしく、 鐶が短剣を握ったまま手指を動かそうとも剥がれない。 その足元ににゅっと忍者刀が飛び出たのと、鐶が短剣を喉首に運んだのはまったく示し合 わせたのではないかと思えるほど同日同刻の出来事である。 まず鐶は白い顎に短剣を押し当てたとみるや、すぅっと垂直に撫で斬った。 「外れなければ……顔ごと落とせばいいだけ…………です」 地面に落ちた顔の一部は無表情も相まりまさしく能面。やや厚ぼったく、ともすれば外装の みならずその骨格部さえも切断されているかも知れなかった。 (た、確かに正論だけど……) 桜花が身震いしたのは麗しい女性だからだろう。斗貴子は特に何の恐怖もない。 そして顔面が地に落ちる前にはすでに根来が鐶の残る右足を大腿部の中ほどから断ち切っ ていた。そして緩やかに前傾しゆくは鐶光──… 「流星・ブラボー脚!!」 自重と加速と重力がたっぷり乗った防人の蹴りが、倒れゆく背中にクリーンヒットした。 哀れ両足なき鐶は先ほどの意趣返しとばかりに成す術なく地に叩きつけられ、蜘蛛の巣の のヒビをアスファルトを走らせた。 シオマネキのように左右まちまちの両手が異常な角度に折れ、背中にだらりと乗っているの は半ば少女の容姿を持つ鐶であるからいたましい。防人は疲労とダメージと共にに嘆息した。 ふと剛太が上空を見れば千歳が瞬間移動していた。つまりそこまで彼女が運んだのだろう。 とにもかくにも生じたこの隙、なんとか追撃をと踵の戦輪の回転数を高める剛太だが、その 眼前で鐶は前述の姿勢から背筋と腹筋の力で二メートルばかり跳ね上がり、左手一本で妖怪 のように跳躍しながら道路を横断、一気に眼前に迫ってきたからたまらない。 「びょいん。びょいん。くけーっ」 ホムンクルスには「体の一部だけをホムンクルス化」する者がいるのを剛太は知っている。 斗貴子からかつてそういうオオワシのホムンクルスがいたと聞いているし、剛太自身も栴檀 香美というネコ型ホムンクルスが耳や爪、しっぽを生やしているのを見た。 それ自体はまだ納得できる範疇の話だ。オオワシのホムンクルスは手を翼にしていたが、そ れも人間の腕と鳥の翼に形態の相同性(指骨の癒合の有無や上腕骨の湾曲の有無以外、実 はほとんど同じ構造)があるのを踏まえればあながち不思議な話ではない。翼の先に爪をあ しらっているのも二足歩行の都合上、本来癒合すべき鳥の指骨が攻撃のため人間の指骨に 沿う形で爪になったと考えられなくもない。そして鐶。 「ホムンクルスが人間形態から原型へ変身する際の細胞変化」 を意図的に操り、沙織よろしく他人へ化けたり、もしくはあらゆる鳥に変身できるという。 (鳥の能力の行使は、その特異体質と部分変化の合わせ技、か。それならありえ……) そう思う剛太に、顔を鳥とカエルの相の子みたいにした鐶が大きく口を開き、斜め上方から 飛びかかった。 (ねェよ!! なんなんだコイツは!!) 桜花が一瞬何事かをいいかけたが、剛太はその掌を一段と強く握りしめ、フロスロットルで 疾走。肩を行き過ぎた鐶が手近な建物の壁を大口で削り喰うのを横目で認めた瞬間、嫌な汗 がぶわりと全身を濡らした。 一方、鐶は口からぼろぼろと破片を取りこぼしながら、「ぐべっ? ぐべっ?」と辺りをぶんぶ か見渡し、たまたま近くにいた斗貴子に飛びかかった。 「つくづく化物だな貴様」 「くけーっ。化物違う。化物違う」 無感情な叫びを漏らす、扁平で横にざっくりと裂けた口と鉤状の嘴は、なまじ肢体のほとん どがなよついた少女の物であるから不気味極まりない 目はフクロウのように二つちょこりと前を向き、色はバンダナに浮かぶ物と同じく黄色に黒。 嘴の周囲にはヒゲさえ生え、側頭部の羽毛のもじゃもじゃは不気味さを倍加している。 これが「ジャワガマグチヨタカ」という樹上生活を好む夜行性のヨタカだとは流石の剛太にも 分からない。ちなみにガマグチヨタカのラテン語の属名はバトラコストムス。ギリシア語の「カエ ル」と「口」を合わせた名前である。 主食は甲虫やバッタ、クモなど。樹上から飛びかかり、大きな口で堅い殻を叩き割るように して食べる。 果たしてその顔は数合撃ち合った後、斗貴子に外科手術のような鮮やかさで切除されたが 「もしも力尽きて……闘志の刃砕けても」 鐶の体がぱあっと光を帯び、傷も欠損した両足も物の見事に回復。人間形態で立った。 「また回復」 「一体なんなんだコイツは……?」 桜花と剛太は口々に唖然を述べながらも顔を合わせて同時に頷き後方支援を開始した。 そして矢と戦輪が雨あられと着弾する中、間合いを詰めた防人が手刀を振りあげ──… 「両断! ブラボ……」 びたりと止まる我が肉体にうすら寒い思いをした。 見れば鐶は軽く伸びをして、指をそっと手刀に当てている。それだけなのに防人は動けない。 「馬鹿な。戦士長の攻撃を指二本で防いだだと……!?」 (コレは俺の攻撃力が落ちているせいか? それとも──…) 「……あ。さっきの話ですけど…………」 指は手刀を少し深く挟むと、そこを起点に防人を投げ捨てた。 行く手には斗貴子。彼女は防人を見捨てるコトも出来ず迎撃するコトも出来ず、しかしすっか り華奢になった体では受け止めるコトも出来ず。 「く」と、ただ成すすべなく防人ごと手近な建物の壁に叩きつけられた。 「てめェ!! よくも先輩を!!」」 「対拠点殲滅用重戦兵器」 円盤に細いワイヤーがついたような尾羽。それが鐶の周囲を舞い狂い 「私の…………設計思想だそうです。それ……から」 数本の電柱を根元から、手近な建物を斜めから。 それぞれ鐶は寸断。ある一方向に向って倒した。 すなわち、激高して飛び込んできた剛太と、彼に期せずして連れられてきた桜花の方へと。 上方から迫る瓦礫と電柱に二人は身を竦め──…地響きと土煙に飲まれた。 「無銘くん曰く…………『破砕の光』『鳳雛』『言論遅滞』『滅びを招くその刃』とも」 「……恥ずかしくね? そのネーミング」 御前の突っ込みに鐶がさあっと赤面したところを見ると、いちおう恥ずかしいらしい。 「む、無銘くんが……つけてくれたから……いいのです。そして」 瓦礫の上へいつの間にか現れた根来が珍しく微笑を浮かべた。 「奴の誘いにまんまとはまったな」 「くそ。瓦礫は囮かよ。とりあえず助けてくれたのには感謝するけど……さっさと放せって」 根来に猫掴みにされ口をへの字にする剛太はやや幼い。 「やられた。逃走経路は予測済み。真の狙いは年齢吸収。あ、でもこれで先輩とお揃い?」 ちょっと嬉しそうな剛太に、根来は露骨に白けた。 「短剣を巻きつけた長い舌で、瓦礫を縫うように攻撃してくるなんて……」 「うぅ。すぐに瞬間移動で桜花さんをさらったのに、なんで間に合わなかったの~~」 泣く千歳に支えられた桜花もまた幼い。 剛太と桜花は瞳がまるまると大きくなり身長が縮み、中学生程度までに退行していた。 (また……! ところで大丈夫ですか戦士長) (あ、ああ。シルバースキンのおかげで何とか。そうだ。キミに話しておきたいコトがある) 緩やかに立ち上がった斗貴子はその言葉に思わず短髪を揺らめかしながら防人を見た。 「ま、待って下さい戦士長。今の話は本当なんですか……?」 「断言はできないが、千歳の例もある。くれぐれも気をつけてくれ」 一足先に戦士へ向かう防人の後姿を、斗貴子はしばし呆然と眺め、 「……全ての時局を熨(の)せる。それこそがクロムクレイドルトゥグレイヴ……!!」 鐶は真紅の短剣を振りかざし、四人へ斬り込んだ。 (以下は本来の年齢 → 現在の年齢) 防人 27 → 27 根来 20 → 12 千歳 26 → 06 斗貴子 18 → 15 桜花 18 → 14 剛太 17 → 13 「キミが始めて武装錬金を発動し、戦う意思を得たのは10歳の頃」 それまでの斗貴子は故郷の赤銅島で、普通の暮らしを送っていた。 「──つまり、年齢が9歳以下になれば千歳同様精神が退行し」 防人はこう指摘した。 「キミは戦士として最も重要な、『戦う意思』を失くすかも知れない」 そうなれば五体満足であろうとなかろうと戦闘不能。10歳未満は即・戦闘不能。 (まさか……そんなコトが……) 冷たい感覚を脊髄に感じながら、斗貴子も遅れて走った。 余談ながら円盤に細いワイヤーがついたような尾羽はヒヨクドリの物である。 ゴクラクチョウの仲間の中でも最も小さい種類であり、ニューギニアなどの熱帯地方に生息。 漢字で書くと比翼鳥。伝説上の「片翼しかなく雌雄が揃わねば飛べぬ」鳥。
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/579.html
永遠のフィレーナ(Part1/2) ページ容量上限の都合で2分割されています。 15-298~312・337~344・404~412・457~465、 16-49~53 298名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/05/22(日)20 08 44 ID crreefIS SFC永遠のフィレーナ、投下します。 原作は昔アニメージュで連載された小説らしいけど未読です。 OVAにもなってるそうな。(´・ω・`)知らんがな 299名無しさん@お腹いっぱい。sage2005/05/22(日)20 09 45 ID crreefIS ○用語説明 デビス帝国…強大な陸軍力で国々を潰して大陸を支配した。 フィロセラ…デビスに抵抗し、最後に滅ぼされた国。 ラリテニア…デビスに潰された国。 帝国人民…デビス民族。支配する側。 属国民…帝国に寝返った国の民。店とかやらされてる事が多い。 クレチア…帝国に潰された国の人々。奴隷同然で人権も剥奪されてる。住む場所も分けられてる。 バトルショー…帝国人民を楽しませるためのクレチア同士で殺しあうショー。引き分けは無い。 バトラー…バトルショーで闘うクレチア。男しかいない。 バトル作家…客を楽しませるため、バトルショーのシナリオを演出する人。 ○人説明 フィレーナ…名前は全然隠れてないが、男として育てられたクレチア。 父親似の顔と、バトラーは男だという先入観もあってか外見で女とバレる事はまず無い。 ゼナ…………16年前にドラに赤子のフィレーナと共に現れた老剣士。 フィレーナを男と偽らせ、戦い方を教えた人物。 リラ…………闘い前のバトラーに与えられる女クレチア。名義上フィレーナの妻になり精神的に支える。 ネスト………バトル作家。フィレーナの闘いを見て、自分の生き方に疑問を抱く。 ミリカ………フィレーナがヌッ殺した男の奥さん。幼い息子がいる。 黒い悪魔……帝国の機密情報機関所属。バラバという役職名で何かいっぱいいる。 決めセリフは「名もなく消えてもらおう」 300永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 12 25 ID crreefIS デビス帝国が大陸を支配してから6年が経った。 ドラの街・バトラー養成所 バトラー訓練士のゼナから特訓を受ける6歳のフィレーナ。 「じいちゃんと戦いたくないよ…」という少女に、本気でかかって来いというゼナ。 「女のお前に男のバトラーとして生きろというのは惨い話だ」 強くなることだけを考えろ、そう言うとゼナはフィレーナを鍛えるのだった。 10年後 日々、特訓を続ける16歳のバトラー訓練生、フィレーナ。 小さな身体を生かして攻撃しろ、と言われながらゼナとの訓練終了。 明日はフィレーナのデビュー戦。死ぬまで闘い続ける生活が始まる。 「ゼナじいさん…」と呼びかけるフィレーナに、ゼナは新しいナイフとシューズを渡した。 「フィレーナよ…、お前にはワシの全てを与えたつもりだ…。何故だと思う? …お前には大切な使命があるからだ。今に、全てを知るときがくる」 明日の試合に備えて自室で休んでいると統率官に呼び出される。 部屋には自分の他に、4人のバトラーが呼び出されていた。 統率官曰く「お前等、バトって死ぬだろうから今宵は楽しめ(要約)」 言い終わると同時に、部屋に5人の女たちが入ってきた。 4人のバトラーは、それぞれ好みの女を連れて行き、フィレーナと最後の娘が残される。 困るフィレーナ。娘を置いて部屋を去ってしまった。 「あっ!」 置いていかれた娘は、統率官の「ムチで打たれるぞ(要約)」 という言葉で我に返り、飛び上がって部屋を出て行った。 フィレーナを追って、娘が部屋を尋ねてくる。 「私の名は、リラ。私を抱いてください…」 沈黙のフィレーナ。 「私…、抱かれに来たんです…」 自分の役目が果たせなければ叱責を受けるのだと言う。 301永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 13 57 ID crreefIS 「悪いけどボクには…」 断り続けるフィレーナに、リラは自分にはそんなに魅力がないのかと問う。 「いや…、その…、明日のバトルショーのことで頭がいっぱいなんだ…だから…」 まさか女なので無理ッスとも言えないフィレーナにリラは苛立ちを隠せない。 「もう!あなた男でしょ?こんな美人に言い寄られてそれでも断るつもり?」 「…美人?」 「美人じゃないっての?あったまきた。私だって選べるなら こんな小さいバトラーなんか選ばないわよ」 「そうつっかかるなよ!美人じゃないとは言ってない、君は十分可愛いよ…」 可愛いと言われ一瞬止まったものの、やっぱり美人じゃないって事だと壁に追い詰める。 フィレーナは部屋から帰す事を諦めると、明りを消してリラを伴いベッドに入った。 沈黙。 「キャッ!」というリラの声と共に明りがついた。 どうもフィレーナの胸に触ったらしく、あっさりと女と言う事がバレる。 クレチアに女のバトラーはいない。 「統率官が気づいたら、あなた殺されちゃうわ!」 「ボッ…ボクは…男だ…!」 自分は生まれた時から男として育てられてきた。 何故偽らなければならないのかは自分にも分からないが、秘密して欲しいと頼むフィレーナ。 「…、あなたもリラと同じ、悲しいクレチアなのね…」 女とバレたら殺される。バトラーとして生きても死ぬまで戦い続ける。 リラはフィレーナを思って言った、希望も何もないと。 男に抱かれるために育てられたリラと、男として育てられたフィレーナ。 悲しいクレチア二人。 フィレーナは、今日この部屋でリラを抱いた事にし、リラは秘密を守る事にした。 そしてリラは雰囲気を明るくするように 「明日の試合は絶対に負けないでっ。約束よ?」と言いフィレーナの側で寝顔を見つめた。 302永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 15 33 ID crreefIS 翌日、迎えに来た統率官に起こされる。 逃亡防止の為、養成所から闘技場に入るまで統率官と兵士が同行する。 姿の見えないリラを気にするフィレーナに、統率官は試合で生き残ればわかると言った。 夕べ顔を会わせた4人のバトラーと合流し、帝国人民で賑わう試合会場に出る。 「闘いに命を捧げる勇気ある者たちに デビスの神の御加護を…」 神への祈りを捧げた祭司が去り、いよいよフィレーナの初試合となった。 ○第1回戦・ビッグエレファント(人というより人型の象) 倒す。勝利。しかし相応に傷ついたフィレーナも意識を失う。 気がつくと見知らぬ部屋のベッドの中。 身を起こし辺りを見回すと、心配したリラがかけよって来た。 フィレーナが眠っていた家は、試合に勝ったバトラーが与えられるもので 周囲にフィレーナの妻と思われたリラはここに連れてこられたのだ。 「あなたが生きているかぎり、リラは、あなたの奥さんよ… ちょっとヘンタイっぽいけど、まっ、気にしないで!」 リラはそういうと、この家でフィレーナの帰りを待つことにした。 次の試合までは街をうろついたり養成所でゼナじぃの特訓を受けたりしてみる。 帝国人民地区ではあからさまに「クレチア風情が!」と嫌がられる。 病院では、帝国の実験台にされたという老人が、自分を14歳だと言っている。 ちなみに主人公宅の南にある家には、対戦相手の一人フィラードの奥さんサラが住んでいる。 ○第2回戦・バラバス(通り名・カマキリ) 素早い小柄のバトラーなので「ノミのフィレーナ」というありがたくない二つ名がつけられる。 倒す。勝利。 フィレーナも今度は倒れることもなく歩いて退場。 闘技場入り口まで戻ってくると、バトル作家のネストという男に声をかけられる。 バトルショーの脚本家でフィレーナの試合を気に入ったという。 「たいてい街の酒場にいる、気が向いたら尋ねて見てくれ」といい去っていった。 自宅に戻るとリラが喜んで出迎えてくれた。 303永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 16 44 ID crreefIS ○第3回戦・ゴラス&フィラード ノミから奇跡のフィレーナへと通り名がレベルアップしたところで 何故か今回の試合は2対1。 「こんなハンディ戦で闘いたくなかった…」というフィラード。 だが、自分も家族の為に死ねないと言い試合開始。 ゴラスは「勝ちゃぁいいんだよ」な人。 倒す。勝利。 フィラード「君の強さは本物だ…。サラ、幸せに…」 (サラの家に行った場合) 「夫が死んだのは、あんたのせいじゃないわ…。これはバトラーの運命なのよ」 ちなみに、バトラーの夫が死ぬと与えられた家からは追い出される。 自宅に戻ると、リラがボンヤリしてるので話しかける。 リラからの質問「もし、フィレーナに兄弟がいたとしたら、会いたい?」 頷くと「生まれてすぐに家族と離ればなれにされたクレチアでも会ってみたいものよね…」 リラは、次のバトル相手が、フィレーナの実の兄だという話を聞いたという。 「…ううん、きっとただの噂だと思うけど」 酒場のネストに会いに行き、噂について尋ねてみると 確かに次の対戦相手はフィレーナの兄だという。 だが、少し考えると、フォレーナを連れて酒場を出て物陰に入った。 ネスト曰く「嘘っぱちだから気にするな(要約)」 つまり実の兄弟同士で悲劇の殺し合いが観客にウケる、と読んだ演出らしい。 それだけ告げるとネストは酒場に戻っていった。 304永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 17 49 ID crreefIS ○第4回戦・フィコス 奇跡→人気者のフィレーナになりつつ入場。 解説者の「自分の兄を倒せるか!」の言葉に続いて入場してきた対戦相手が話しかけてきた。 「久しぶりだな、フィレーナ…。俺がお前の兄、フィコスだ…。 オレたちは兄弟なのに、殺しあわなきゃならぬ運命とはな」 そういうとフィコスは壇上に登る。フィレーナは無言。 試合中、兄として惑わすような発言をするが倒す。勝利。 フィレーナが倒れたフィコスの側に立つと、彼は言った。 自分はバトル演出用の道化のバトラーだと。 「妻と…子供の命を守るため…、お前の兄と…偽って…」 フィコスは息を引き取った。彼も悲しいクレチアだった。 兄殺しのナレーションと共に、退場しようとすると女と子供が乱入してくる。 女はフィコスの妻ミリカ。フィレーナに向かって叫ぶ。 「必ず仇をとってやる!フィス、この男の顔をしっかりと覚えとくんだよ… 父さんを殺した、この男を!」 去り際一度振り返った子供をつれ、ミリカは去っていった。 一人俯くフィレーナ。 「ミリカさん…、こうするしかなかったんです。これが…バトラーの、宿命だから…」 その頃、闘技場入り口。 統率官とフィレーナの今の試合について話す兵士達。 「平気で兄を殺せるとは、全く見上げたクソ度胸だ…。 しかし妻と子の前で夫を殺させるとは、バトル作家も面白いシナリオを書くものだな…」 自宅に戻るとリラが走って出迎える。 「ごめんなさい…あなたが負けた時のことを考えてたらなんか…悲しくなっちゃって… フィレーナ、そんな寂しそうな目をしないで。あなたは負けるワケないわ。そう信じてる…」 305永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 19 18 ID crreefIS 酒場でネストに話しかけると、フィコスの事は気にするなと言われる。 「それより、次の試合が問題だ。バトル作家でも対戦相手を変える力まではない…」 今回だけは内容を明かせないという。酒のペースが早い。 養成所へ行くとゼナの姿はなく、部屋には別の教官がいた。 もう教官はゼナではないという。 ○第5回戦・ゼナ 人気者→兄殺しのフィレーナが入場。対戦相手は師、ゼナ。 いつも通りに祭司が祈りを唱え、去る。 無言で歩き出すゼナ。 フィレーナは逆に入場口へ向かうが、兵士に抑えられ壇上まで引きづられていく。 「ゼ、ゼナ先生!いや、ゼナじいさん…!どうしてボクがじいさんと…」 生き抜くことだけを、考えろ。ゼナはそう言うと師弟対決は幕を開けた。 「宿命だと思え、自分を乗りこえ本気でかかってこい!」 ちなみに試合中ゼナの攻撃はすべて当たらない。 倒す。勝利。 必死でゼナを抱きおこすフィレーナ。 ゼナはフィレーナを褒めると、一つの首飾りを手渡した。 「情報…管理局に行け。この、首飾りに… 『フィロセラの希望』…には…お前の…秘密、が……」 泣くフィレーナ。 「王女よ… さ…ら…ば……」 最後にそう言い残すと、ゼナは息を引き取った。 会場に流れる解説者の声。 「フィレーナ強い!師ゼナも倒した!しかしここまで来ると恐ろしい気がします! フィレーナには人の心はないのか!?」 ゼナの死体から離れようとしないフィレーナを兵士が連れて行った。 闘技場入り口では、フィレーナの劇で客が増えたと喜ぶ統率官と兵士達がいた。 306永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 20 22 ID crreefIS ゼナの遺言に従おうと思ったフィレーナは、酒場でネストに調べ物をしたいと話す。 「ドナ情報管理局へ行くといい…。データ分析室もあるしな…」とネスト。 クレチアが入ることはできないので、ネストについてきてもらう事になった。 情報管理局で合流という話になる。 情報管理局入り口で早速守衛にとっつかまるフィレーナだが 後から入ってきたネストの口ぞえで強引に押し通る。 建物の奥に進み、データ分析室に到着。 「使い方はこいつが教えてくれる。俺は外にいるから」というネストに フィレーナは何故自分に親切なのかと問う。 フィレーナが闘技場で闘う姿を見て、帝国に逆らいたかった自分に気がついたのだと言うネスト。 「男が男にホレちまったっていうか…。おい、誤解するなよ! その趣味はないからな、ハハッ」 ネストの退出後、データ分析マシンに向かうフィレーナ。 『コードSN098…。フィロセラの希望…セット。分析中…』 分析の結果、マシンは、フィロセラ製の映像記憶デバイスに残されていた情報を再生した。 マシンが映像を映し出す。ゼナの声が聞こえてきた。 「フィレーナ…これが海じゃ!お前の生まれたフィロセラの海じゃ… どうだ、美しいじゃろう。我らフィロセラの民は、この海の恵みによって豊かに暮らしてきた。 だが、16年前のある日…フィロセラは帝国軍に襲撃された! その日から何もかもが変わった…」 307永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 21 11 ID crreefIS 火が放たれる街や城。王宮の門前には争い傷ついた兵士達が倒れ 追い詰められた王と后、2名の側近、そして生まれて間もない王女がいた。 王と王妃はフィロセラと運命を共にするという。 ウト「王様!」 ゼナ「ならば、このゼナとウトも、フィロセラと共に…」 王はスッパリ却下すると、2人の側近に2つの フィレーナ を託した。 「さあ、王妃…」 「1つはこの フィレーナの剣 …。 海を守り、奇跡を起こすフィロセラの宝です…。これをウトに… そしてゼナには、愛する我が子 フィレーナ を…。どうか、お前だけは健やかに…」 「ゼナ…ウト…、よろしく頼んだぞ!」 「ハッ、お任せください!我ら2人の命に代えても…」ゼナが言った。 2つの フィレーナ が無事である限り、必ずやフィロセラは蘇る。 その言葉を残し2人に別れを告げると、王と王妃は王宮の中に入り、門を固く閉ざした。 「王様っ!」 陸地から離れていく城。王女と剣を抱え脱出していた2人が見たものは 海中に沈んでいく青きフィロセラ王宮であった。 王座に座った王と王妃。 王妃は我が子に語りかけた。 「さようなら、フィレーナ…。私たちの愛するフィレーナ…。 さようなら、フィロセラ……」 セピア化する映像。ゼナのナレーションが戻ってくる。 「王国の、ただ一人の王位継承者。それが、お前なのだ! フィロセラ王国の王女よ…、帝国の支配の中で死に絶えた海を 再び蘇らすのじゃ! そして、豊かなるフィロセラ王国をもう一度お前の手で……」 308永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 21 59 ID crreefIS ゼナは、帝国の首都ボーへ向かい、刀鍛冶のウトを訪ねるように言った。 ウトが奇跡の剣 フィレーナ を授けてくれるだろう、と。 最後にゼナは言った。 「…お前の正体は決して帝国に悟られぬようにな。 フィロセラの王女であること…そして女であること…」 映像が途切れた途端、赤い光と警告音。 データ分析マシンが『コード スクランブル 』を告げる。 再生されたデータの中に、帝国の最高機密に属する情報があったと告げる。 「利用者の人民コードを明らかにしてください」というマシンに慌てて近寄るフィレーナ 「お前、何やらかしたんだ!」ネストが室内に飛び込んでくる。 兵士に見つかると監獄行きなので逃げるに決定。 ガシガシ倒しつつ脱出する2人の前に入り口で揉めた守衛が登場。 「ネストさん、困りますね、これほどの死人をだしてもらっては… あなたが知った最高機密を話してもらいましょうか」 「最高機密だって!?」 ネストは外に出てたのでなんも知らないデス。 直後、守衛達が一瞬で消滅。何が起こったのか分からない2人。 柱から現れる黒い人影。 「帝国の機密に触れたものは黒い悪魔に出会う… 黒い悪魔に出あったものは死ぬ…」 ネストが動揺した。戦闘体勢をとるフィレーナに忠告する。 「フィレーナ、気をつけろ!こいつはただの兵士じゃない!」 瞬時にフィレーナの背後をとった黒い悪魔は「名もなく消えてもらおう!」と襲い掛かってきた。 倒す。勝利。そして脱出。 残された黒い悪魔はどこかに通信を入れる。 「こ、こちら…バラバ2…、逃げられた… バトラーのフィレーナと…バトル作家が…一緒だ…。 あとを…た、の…む…」消滅。 309永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 22 47 ID crreefIS 建物から出た2人。まずいことになった、というネスト。 黒い悪魔。噂で聞いたが、本当に見たのは初めてだという。 「 帝国機密情報兵団 。通称、 黒い悪魔 さ」 フィレーナが再生した情報が、軍を危険にさらす最高機密だったために 排除しようと駆けつけてきたのだった。 「一体何を調べたんだ?」という問いに答えられないフィレーナ。 ネストは無理に聞こうとはしなかった。 「ネスト、あなたを巻き込んでしまって…何と言って…」 詫びるフィレーナに、謝ることはないと返すネスト。 変な話だが、こうなる事を望んでいた気がする、と。 フィレーナは一度家に戻ろうとするがネストに止められる。 「でも、妻のリラが…」 「妻か…、よし、わかった。脱出法は俺が考える…」 手配されるのは時間の問題。フィレーナの家の前で落ち合う事を約束して ネストとは別れ、クレチア地区へ向かう。 自宅の扉を開けると中からリラが叫んだ。 「入ってきちゃダメ!」 帝国兵かと思いきや、飛び出してきたのはフィコスの妻、ミリカ。 傷つけるわけにもいかずじりじりと後退するフィレーナにミリカは何かを投げつけた。 「うわっ!」 跪いた姿を見て、慌てて飛び出してきたリラが二人の間に入る。 「あなた、フィレーナに何を…!」 「アッハハハッ、毒薬さ…!これでもう目は使えないよ!」 「何て酷いことを…!」 310永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 24 11 ID crreefIS 帝国の兵士が現れた。 「バトラーのフィレーナだな? 守衛および兵士殺しの罪により、お前を逮捕する!」 兵士の言葉に驚くリラを押しのけて、ミリカが前に出る。 「兵士さん、ご命令どおりこいつの目をつぶしてやりました」 兵士の反応は冷たい。 邪魔するならお前も逮捕するという兵士に向かって、約束が違うと叫ぶミリカ。 「早く息子を返しておくれよ!」 元より、クレチアとの約束など守るつもりはない兵士に向かって ミリカは悔し紛れに毒薬を投げつけた。 3人に近づいた兵士は、後方からレーザーのようなもので撃たれ倒れた。 背後から現れるネスト。 「このヘルガンの味はいかがかね?兵士さん」 「貴様、帝国人民のくせにクレチアの手助けをするつもりか…」 「もうオレは帝国人民をやめたんだ!」 ヘルガンをくらい、跡形もなく消滅する兵士。 「その声…、ネスト?」 ネストはフィレーナの目が見えない事に気がついた。 リラが毒薬の事を話し、ミリカを押す。 ミリカはミリカで、夫を殺され、息子を奪われた怒りが収まらない。 ネストは2人を一喝し、反逆者として指名手配をされるだろう事を手短に話すと脱出を提案した。 場所はかわって巨大なマシンが置かれているどこかの作戦本部。 先ほどまでのネストやフィレーナの会話がスピーカーから流れてくる。 椅子には、黒い悪魔と同じ格好をしたヤツが何人も座っている。 311永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 25 02 ID crreefIS 黒い悪魔バラバ1 「ネストか…?フン、バラバ2が知らせてきた反逆者の人民とはこいつのことか バラバ2といい、上級兵士に化けたバラバ6といい、情けないヤツラだ」 黒い悪魔バラバ3 「馬鹿め、油断をするからだ! しかしどうやら、女クレチアに持たせた毒薬のビンが トランスミッター(盗聴器?)とは気づいてない」 バラバ1が、ネスト達の行き先を尋ねた。 「養成所に行く…、脱出に地下の下水道を使うつもりだ」 「なるほど、バトル作家なら養成所の下水道ぐらい知っていてもおかしくはないな… ならば先に手をうたせてもらおう」 バラバ1は、バラバ4&バラバ5に通信を入れた。 一方、フィレーナ自宅前。 息子を残していけるものかとゴネるミリカを説得するネスト。 そしてリラは、フィレーナを傷つけられご立腹である。 「こんなおバカに手を貸すことないわ、時間の無駄よ」 ネストは諦め、盲目のフィレーナを連れて去ろうとするとミリカはやはり着いて来た。 養成所の中は燃えていた。火事に慌てるリラ。 「たんなる火事じゃないぞ…、門番兵もバトラーもいない」 ネストがそういうと、開いた扉からバラバが2人登場。4と5らしい。 「みんな消えてもらった。さぁ名もなく消えてもらおう… もうすぐ地下にも火の手が回る。そうすれば下水道は使えまい」 笑う4。舌打ちしたネストは3人を先に行かせると後を追った。 4人が地下に滑り込むと同時に入り口が崩れ、4と5を通せんぼ。 考えた挙句、4&5は養成所を爆破する事にした。 312永遠のフィレーナsage2005/05/22(日) 20 26 17 ID crreefIS 牢屋を通り、地下を走る4人。 毒薬のビンを落っことしたミリカが拾おうとするもネストに止められる。 フィレーナが異常な音に気がついた。 「爆破するつもりか、バカな…」 ネストはそういうと、奥の牢屋にあった隠し通路を開いて皆を通す。 下水道は、まだ火の手は回っていなかった。 ここでネストがフィレーナに「お前は俺たちの後からついて来い」というが これはフィレーナが盲目状態の為。 実際に列の先頭にすると、一歩歩くごとに画面がブレてもの凄く進みづらい事になる。 モンスターをガシガシ倒しながら下水道を進む4人ははしごを登って外に出た。 どこかの街の隅のようだ。 辺りを見回し、ここはどこ?と尋ねるリラに 「デラシーナ…、浮き草の街さ……」と答えるミリカ。 一人別の方角を向くフィレーナに、目は痛むかと聞くネスト。痛みはもう消えたらしい。 「それにしてもお前…。目が見えないくせに、よく下水道のバケモノと闘えたな…」 「それが不思議なんだ。なんていうか、こう、気配がして、相手の動きが読めるんだよ」 ネストに、根っからのバトラーだな、と言われる。ついでに女とバレた模様。 目の見えないフィレーナを補佐している間にどうも感づかれたような。 二人の会話はリラによって中断され、目の治療の為、医者を探す事になった。 この街に医者なんているのかな、と考えるネストを不思議がるリラ。 デラシーナは仕事もせずに浮き草のように遊んでいる住民ばかりなので そう呼ばれるようになった街。そんな場所に医者がいる訳ない、というミリカ。 「それより逃げるのが先だろうに。ホント、じれったいね!この世間知らずのおバカはっ!」 「おバカっ…!?あなたねぇ、もとはと言えば…」 またも間に入るネスト。ケンカしてる場合じゃない。 探すだけ探してみる事に決め、フィレーナの側に寄るリラとネスト。 「ネスト…、さっき君が言いかけたことだけど…」 「ああ、あれか…」 ネストは少し考えると、自分の勘違いだから気にするなと言った。 337永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 15 21 ID m3uWlXK9 ヨッパライと自称芸術家たちばかりの町を歩き、医者の自宅を発見。 「あんたが医者のキル?」 医者でその名前はどうかと思うが置いといて、ネストが尋ねると答えはyes。 だが酔っていた。事情を説明するネスト。 「実はな、毒薬で目を…」 「フム…ヒック!わしの見事なダンスにちゃんと反応しているが…」 「目が見えないのは、ボクじゃなくて隣のフィレーナですよ!」 それを早く言わんかい、とヒックヒック言いながらフィレーナを診察するキル。 彼の診断によると「要手術。でも今は無理。5日後に来てチョーダイ(要約)」と出た。 準備が必要で(体から酒に抜いたり)特に薬草はバイセーラ(行商人)が来なければ 手に入らないのだと言う。それが5日後。 待ってる間に失明しては大変だと、ネストは手術に必要なデラの薬草を取りに行く事に。 「デラの薬草は川を下った浮き草の氷穴にある」 浮き草の氷穴。バケモノが潜む暗い氷の穴。 それを聞いたフィレーナが自分で行くと言い出した。 危険な上に、帝国の追っ手もかかってる。 これ迷惑はかけたくないと言ったトコロで、リラに怒られる。 「リラはあなたの奥さんよ…。迷惑だなんて…悲しいことは言わないで!」 ネストも同意。皆同じ運命だからと。 意外にもミリカも同意する。 船頭に船を借り、川を下って浮き草の氷穴へ。 薬草もどきのマンドラゴラと戦いながら薬草をゲットしてデラシーナへ戻る。 キルの家に入ると、手術の準備はできていた。 隣のフィレーナを見つめたリラがキルに頼み込む。 「キルさん…お願いします」 キルは頷くと、フィレーナを案内するネストと共に手術室へ入っていった。 ネストが退出し、手術が始まる。 338永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 16 46 ID m3uWlXK9 「聞こえるか?リラ」 扉に耳をつけ中の様子を伺うリラとネスト。後ろで見てるミリカ。 「うわっ!何だこりゃ!」キルの声に飛び上がるリラ。 手術室。 「シーッ!キルさんお静かに…。皆が驚きますよ」 あぁすまん…というキル。 「あり?すまんじゃないよ」 目の手術で胸を見るものなのかよく分からんが、女とバレた。 会話の詳しい内容までは聞こえない外の3人。 「エッチでもしてるんじゃ…」と言うネスト。 「真剣な顔して何言ってるの。フィレーナは男よ!」 とリラに睨まれ、そうか…そういうことになってたな…と焦る。 「まさかネストさん…フィレーナの事…」 そこまで言うと手術が終了し、キルが部屋から出てきた。 手術は成功した。目に包帯を巻いたフィレーナがキルに続いて出てくる。 皆のおかげだよ、と礼を言った。 「ところで、このムスメだが…」 「ム・ス・メ…?」キルを睨むリラ。 「いや、もとい、このフィレーナの事だが、完全に目が治るまでは包帯は絶対とらんように」 完治する前に光が入ると、本当に失明してしまうという。 一段落ついたところで、キルが皆に尋ねた。 「ところでどうやってこの街から脱出するつもりだね?」 一応指名手配&逃亡中なので驚くネスト。 「そのムスもとい、フィレーナに聞いたんだが都のボーへ向かうのだろう?」 慌てて、行くのは自分だけです!という包帯のフィレーナ。 「夫の貴方がボーに行くのなら、妻であるリラもついていくわ!」とリラ。 何を言っても引き下がらないだろうリラの勢いに、何やら羨ましがるキル。 339永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 17 51 ID m3uWlXK9 キルは何かを思いつくと、奥の部屋から獣耳の仮面(猫っぽい)と衣装を持って戻ってきた。 「これはミメズの仮面だ…。ミメズに潜り込めば、黙っていてもボーに行ける筈」 どうやらその集団は検問もフリーパスらしい。 ミメズって?と尋ねるリラ。 「デビスの神に仕える為に入信した女たちのことでな… 集団となって踊りながら神殿のあるボーを目指すんだ…」 ただし、キルが持っていた仮面は3つ。盗賊に襲われここで亡くなった女のものらしい。 ミメズの仮面は帝国が支給しているものなので購入もできない。1人分足りない。 ミリカが降りた。 「3人で使えばいい、そんな格好するのはゴメンだよ」 その言葉には、どこか思いやりがあった。しかしネストが却下する。 「いや、ミリカ…。お前もこれを使って逃げるんだ。 ドクターキル、俺はこんな仮面なんていらない」 「ネスト、あんたは?」 そう尋ねたミリカに自力で脱出するというネスト。 「これでも軍人の家の生まれなんだぜ…。帝国人民の扱いはまかせろ」 頷くキル。元よりネストが女装する方に無理がある。 後はミメズの踊りを覚える為に、町に残ってる集団を探してマスターする事に。 今更だが不思議がるネスト。 「帝国人民であるあんたが、どうしてこんなに親切に…?」 キルは答えた。同じ穴のムジナ、帝国に逆らうバカ者って事だと。 フィレーナがキルに改めて礼をいった。 ネストは皆に挨拶すると、再会を約束して去っていった。 その後ろ姿を見ながら、いい男だというキル。 「何をボケッと見ておる。仮面をつけて行け」 踊りをマスターしなくてはならないので、ミメズの衣装に着替える3人。 赤青黄色の信号機3人組になり、餞別アイテムも貰ってレッツゴー。 街で発見したミメズを追って劇場に入ろうとすると、兵士に声をかけられた。 少々古いタイプの仮面を不審に思う兵士にあたふたと答えるリラ。 340永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 18 54 ID m3uWlXK9 場所は変わって、再びバラバの作戦会議室(略してバラバ室)。 部屋には兵士と質問に答えるリラの声が流れている。 それを聞きながら話すバラバ達。 バラバ1 「聞こえるか?兵士に化けたバラバ7の会話だ… 怪しいな、バラバ3、どう思う?」 バラバ3 「3人か、一人足りんな…。それに、たしかキルとか…」 バラバ9 「ドクターキルのことだ…。秘密実験に手を貸すのを拒んだためクビになったやつだ! だがバラバ7が今話してる者が仮にフィレーナの一味だとして… なぜ帝国人民のキルと結びつくかだ…?」 バラバ3 「もう少し調べてみよう… 先ほど養成所の後から、バラバ4と5の死体が発見された… ヤツらの死体も出てくるかもしれん」 バラバ1 「情報管理局でのバラバ2と合わせてこれで3名の団員が死んだのだ… まだフィレーナの一味が生きている可能性があるうちは… 疑わしきもの…、全てを消す…。人目につかぬ場所でな……」 バラバ9 「キルについては別に利用法がある。 仮にヤツらの仲間だったとしても生かしておこう…」 1は、兵士に扮した7に、ミメズ3人をマークするように命を出した。 去っていく兵士を見ながら、胸をなで下ろすリラ。 先ほどのミメズを追って劇場地下のミメズ集会所へ降りていく。 341永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 20 04 ID m3uWlXK9 すんごい踊り狂ってるミメズ集団発見。この踊りで都ボーまで行くらしい。 奥にいたミメズリーダーに踊りを教わる3人。 手本を見せ、自分の踊りを繰り返すように言うが、仮面の下は包帯のフィレーナには見えない。 「すみません。この人少し、覚えが悪くて…」 何とかごまかすリラ。もう一度お願いしますと言うとミリカと2人でフィレーナの手を握る。 「フィレーナ、行くわよ…。手を離さないで…せーの…」 何とか踊りはクリアーできた。ミメズリーダーが去り際言った。 「でももう少し離れた方がいい。 手を繋いで踊るなんて、あまり見かけないからね」 出発場所の北検問所では、ミメズの踊りをチェックしてから通していた。 やはり手を繋いで踊る3人。 誘導と勘で踊るフィレーナの動きを変だという兵士に 「この人ったら、ちょっと男っぽくて…」とごまかすリラ。 「…そうそう!うちの妹ときたら、オホホッ! いつも姉さんが女らしく踊りなさいって言ってるでしょ。オホホホッ!」 ミリカの怪しいフォローで更に疑われるフィレーナ。 「調べさせてもらうぞ」 「キャッ!」 「うちの妹に何するんだい!」 「胸を触るなんて…、この変態兵士!」 「う、うるさい!これも仕事のうちなんだ。男が化けてる事もあるからな…」 セクハラ呼ばわりされた兵士は、半ばヤケになって検問所の中に通してくれた。 やはりネストじゃ無理だった。 検問所内にて。 フィレーナを男だと思っているミリカは、バレたら大事だったと焦る。 先ほどの『キャッ』を演技だと思って褒めた。 何となくリラの方をむくフィレーナ。 342永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 21 08 ID m3uWlXK9 検問所の扉が開き、ミメズ集団が外へ出て行く。 前の集団を見ながら呆れるミリカ。いつまで踊り続けるのやら。 リラが答える。 「だから、ボーにつくまでよ。食事と寝る時を除いてはずっと踊り続けるのよ!」 「そりゃ大変だ」 「あら、無理しなくてもいいのよ? あなたは私たちと別に行けば…。この大わがままのおバカッ!」 口論に発展しかけたところでフィレーナがリラを止めた。 「さあ行こう!おいていかれちゃうぞ…!」 怪しい仮面の女集団は、踊りながら都ボーを目指す。 バラバ室。バラバ1が他のバラバの意見を聞いている。 (もう以下、番号で) 3「作戦Bで、ヤツらの野宿中を狙おうや(意訳)」 1「アホか、他のミメズに見つかるやん。作戦Aにしとき(意訳)」 結局多数決で作戦Aになりました。 野営に入ったミメズ集団に、リーダーの黒ネコが呼びかける。 「今夜はここで一夜を明かすから、適当に休んでおくれ!」 火を囲んで休息をとるミメズの輪から少し離れた場所に座り、フィレーナ達は眠りについた。 綺麗な音色で目を覚ましたリラは、川べりに座って笛を吹くミリカに話しかける。 ミリカは、息子のフィスが好きな子守唄だと言った。 「そうだったの…」 帝国に捕まったままの息子を心配するミリカを励ますリラ。 「ありがとう、優しいんだね、あんた…。」 「フィレーナも言っていたわ。ミリカさんは私たちの仲間だって」 昼間に喧嘩した事を、フィレーナに叱られたと笑って言うリラ。 「仲間か…、仲間って、いいもんだね…… リラ…もう休んどくれ…。あたしも、寝るからさ」 「フィレーナの横に来なさいよ…。その方が、暖かいわよ…」 リラはフィレーナの側に戻り、ミリカにそう言うと眠りについた。 隣に来てフィレーナの顔を眺めるミリカ。 「あたしのせいで失明するかも知れないってのに一度も責めないんだね… ゴメンよ、フィレーナ……」 343永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 22 17 ID m3uWlXK9 朝、ミメズリーダーこと黒ネコに声をかけられ用事を頼まれる3人。 道の先にある橋で、ミメズを襲う山賊が出るらしいので様子を見てきて欲しいという。 なぜそんな危険な事を自分たちが?とミリカ。 「見たところ、あんたたちはとても仲がよさそうだからね… ただ、それだけのことさ。こういう危険な仕事は、チームワークが大切なんだよ」 そういわれると断りにくい3人は引き受ける事に。 リーダーに教えられた道を歩いていくと深い谷に渡った橋についた。 山賊の目につかないよう、ミメズの衣装は脱いでいく。 草むらで着替えることになった。 「フィレーナ…、目の具合はどう?」着替えながらリラが訪ねる。 包帯をとるにはまだ早すぎる。フィレーナはそう言いながら考えた。 「でもその代わり、音のする方向がとてもよく分かるようになった…。 今も、リラやミリカさんの動きが、手に取るように分かるよ」 「やだよ…フィレーナ。あたしらが着替えてるところイメージしてたのかい? あんた、そんな顔して案外エッチなんだね」←男と思ってる。 怒るリラ。 「何バカなこと言ってるのよ!それより早く着替えましょ…」 リラがフィレーナの着替えを手伝い、ミリカの方を振り向くと仮面と格闘している。 ミリカの仮面がなかなか脱げないので、先に2人で行く事になった。 ようやく変装をとき、2人を追いかけようとしたミリカは 不自然に後をつけるミメズリーダーを発見する。 「…あいつ、怪しいね…」 橋の上で周囲を見渡す2人。フィレーナは背中合わせに立っている。 リラが特に異常なしと判断していると、フィレーナが誰かの足音に気づいた。 「ミリカさん…?」 「いや、違う。近づいてくる…」 344永遠のフィレーナsage2005/05/24(火) 19 23 24 ID m3uWlXK9 フィレーナが向いた方向をリラが見つめると、黒ネコが姿を表した。 「びっくりした…、黒ネコさんだったの…!」安堵するリラ。 「どうだい…、山賊の様子は?」 「ええ…、今のところは…」そう答えながら黒ネコの方に歩きだしたリラを厳しい声が制止する。 「動くな!お前らとの追いかけっこはここでゲームオーバーだ!」 黒ネコは仮面を脱ぎ捨て、バラバ7になった。 「黒い悪魔!フィレーナ、これは罠よ!」 バラバ7は不敵に笑う。その背後の岩に身を潜めて忍び寄るミリカ。 「俺たちを知っているとは、やはりフィレーナの一味だったか… この爆弾で橋もろとも消えてもらおう!うん…?」 1人足りない事に気がついたバラバ7は、死角から飛び出してきたミリカに 爆弾ごとガツガツ押され、あっさり谷底に落ちていった。 ケガの巧妙だね…と笑い、ミリカが2人の元へ行こうと橋に上がった瞬間。 地の底から響いてくる音と揺れ。 フィレーナが叫ぶ。「爆弾の音だ!」 谷底に落ちた爆弾が爆発し、橋が巻き込まれそうになる。 向こう側へ走る3人。ミリカがこける。 「ミリカさん!早く!」 リラが呼ぶと同時にミリカとの間に爆発で生じた火の玉が落ち、橋が崩れだす。 とっさにリラを抱えて走るフィレーナ。 橋は瞬く間に燃え、ミリカと共に落ちていった。 「…そ…ん…な…」谷底を見ながら崩れ落ちるリラと立ち尽くすフィレーナ。 呆然としながら、フィレーナを見たリラは、その頬を流れる涙に気づく。 「…フィレーナあなた、その目で何が起こったのか…、全て…」 「ミリカさん…、せっかく友達に……」 こんな別れになるなんてひどすぎると叫ぶリラは、足元に転がる笛を見つけた。 ミリカが転んだ時に投げ出されたようだ。 彼女の形見。「いつか必ず息子のフィスに手渡そう」 そういうフィレーナの言葉に、笛を拾い上げるとリラは頷いた。 404永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 04 12 ID awscL8O6 生きるため、そして約束を守るため、2人は帝国の都ボーを目指した。 山を抜け、雪山の中にある洞窟を発見し、入ろうとすると男が飛び出してきた。 「何の目的でここにきた!」 じりじりと迫ってくる無骨な男に怯えてリラがフィレーナの後ろに隠れる。 登ってきた方向から、男達が走ってきた。 「ラリス!大変だ!ゴア橋が消えちまったんだ…!」 驚くラリスという男。 赤毛の青年が2人に目をとめると、ラリスは帝国のスパイかもしれんと言った。 他の男達がリラとフィレーナを包囲する。 その様子を見ながら、ラリスが赤毛に尋ねた。 「アベル…、どう思う?」 あの2人の事か?と返すアベルにラリスは、ゴア橋の事だと言った。 結局洞窟の中に入って話すことになり、2人も連行される。 静かになった雪山のふもとに、バラバが4名ほど追いかけてきていた。 洞窟に入って話すアベルとラリスに仲間の山賊たちが報告。 作戦本部のレーダービジョンに黒い悪魔らしき影が映ったという。 驚く山賊たち。アジトが帝国にバレたのか…?とアベル。 ラリスが部下に、注意するように命じると偵察に向かわせた。 アベルは、リラとフィレーナを捕らえていた部下をつれ、出口へ向かう。 山賊が確認した影はやはり黒い悪魔だった。 405永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 05 26 ID awscL8O6 一方ラリス。帝国のスパイかどうか調べる、ついて来いと言う。 それに反応したフィレーナが、帝国の悪魔の事を話そうとするが相手にされない。 「嘘じゃない!」 「それじゃ何のために?」 自分を殺すためだというフィレーナ。 そこへ黒い悪魔こと、バラバ8が息を切らせ入ってきた。 「フィレーナ、ついに見つけたぞ!山賊にまぎれるとはいい思い付きだったが… まあまとめて消えてもらおう!」 ラリスも入れて戦闘開始。倒す。勝利。そして8は消滅。 バラバ室でレーダーを見ていた1は、8の生命シグナルの消滅を確認し憤怒した。 「脱走バトラー一人を消すために一度に4名も団員をおくってこのザマか!!」 一方、戻ってきたアベルたちもボロボロ。 「俺たちで2匹を消したが、ひきかえに16名の仲間の命が…」 「高い代償だったな…」 フィレーナが2人の前に出て詫びた。自分が黒い悪魔を呼び寄せてしまった。 ラリスは責めなかった。 一緒に闘って好感が沸いたのか、訳あり謎あり女つきのフィレーナを気に入った模様。 「へえ、ラリスが他人を褒めるなんて、珍しいこともあるもんだ」とアベル。 用心のためアベルは出入り口を完全封鎖、ラリスは別の洞窟の様子を見に行くことになった。 ラリス曰く「化け物とか出るけど奥にアジトがあるんで自分等で行ってくれ(要約)」 そこで落ち合うとしよう!そういうとラリスは部下を伴い出て行った。 フィレーナ達はラリテニア洞窟をワシワシ進む。 暗号を解いて開いた扉の先は、洞窟の中にある村だった。 406永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 06 35 ID awscL8O6 「ようこそ、わがリトルラリテニアへ」 舌を噛みそうな迎え文句をいいながらラリスが現れた。 改めて自己紹介をする3人。 ラリスは、山賊を名乗ってはいるが実際は反乱軍を率いているのだという。 この村と反乱軍を隠すために、山賊を隠れミノにしているのだ。 「ここでは薬草が特産品なんだ。畑に行けば、その目に効く薬草もきっと見つかるはずさ…」 ラリスは作戦本部に戻るが、長老の孫娘に伝えておいたからまず長老に会えという。 長老に会いに行くも、お昼寝中。 孫のマーゴットを探し出し、ようやく目覚めた長老に挨拶した。 長老がフィレーナの包帯に気づき、目を状態を調べる。 「ほほう…、この目にはキキリキの薬草がよく効くべ…」 と言いながら薬草畑への通行許可をくれた。 『許可は出すからユアセルフ』お言葉に甘える。 畑に到着したものの、その種類の多さにどれがキキリキの薬草がわからないリラ。 ここで待っていて、と言うと走って長老宅に戻っていった。 バラバ室。 さらに追加で送りこんだバラバ11情報によると、一面雪景色で逃走ルートが発見できないらしい。 3が1に尋ねた。山中に潜伏した可能性は? 「山中に潜伏だと…?」 リラの帰りをボンヤリと待つフィレーナに、ラリスが話しかけてきた。 どうかしたのかと尋ねるラリスに、薬草見分けがつかねッスと言うと 村の外の人間に見分けは難しいか、とキキリキの薬草を見つけてくれた。 自分もワンパクが過ぎたせいで何度この薬草世話になったかわからないというラリス。 薬草を手に、何故黒い悪魔に狙われるのかと尋ねてきた。 407永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 07 55 ID awscL8O6 フィレーナが事情を話し終わると、ラリスは言った。 「ボーで刀鍛冶に会って、それからどうするのかは知らないが この村で一緒に生活するのも悪くないと思う」 無理にとは言わんが、と付け加える。 「なんて言ったらいいのかな…。洞窟で別れた時から何かお前見てると胸キュン(要約)」 戻ってくるリラ。ラリスに気がつく。 「あらっ、ラリスさん、どうかしたの?顔が赤いわよ…」 いやその今日は暑いな…といってごまかすラリス。 リラはラリスが手にしている薬草を見つけ、いいとこあるのねと褒めた。 薬草を押し付けそそくさと家に戻るラリス。リラは変だと思いながらも、フィレーナに向かう。 「さあフィレーナ…。目の手当てをするからこっち向いて?目は開けちゃダメよ」 リトルラリテニアの作戦会議室で部下たちと話をするアベル。 何やら切羽詰まった様子で、代役を探すように手配している。 手当てを終え、包帯を巻きなおしたリラ。 「どう…、気持ちいい?早く目が治ったらいいわね… そうだ…、長老さんにお礼を言わなきゃ!」 長老に礼を言った後で、ラリスへの伝言を頼まれて家を訪ねる。 本人は留守だったが、ラリスの母に教えてもらい教会の地下の反乱軍の作戦本部を訪れた。 作戦本部にはラリスがいた。村長に呼ばれてる旨を伝える。 本部内を見学していると、何やらラリスとアベルが話し中。 ラリス「密売の代役には自分が行く」 アベル「リーダーにもしもの事があったら困る、別のものに行かす」 黒い悪魔との戦いで、密売を担当していた仲間が死亡した為 代理でラリスがトロッコの洞窟にはいるらしい。 フィレーナとリラは、ラリスに同行する事にした。 長老に報告し、マーゴットから、薬草の入った袋と洞窟の鍵を受け取る。 鍵をつかって内部に入ると、ポイントを切り替えたりしながらガシガシ進んだ。 408永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 09 00 ID awscL8O6 取引場所に到着。 ラリスは2人を死角になる位置に隠れさせると、取引相手を待った。 「変だな…、薬草の買人はまだきていないようだ… 約束の時間に遅れたから帰っちまったのかな…」 一方、バラバ8の生命シグナルが消えたポイントに到着したものの 未だにフィレーナ達の行方が掴めないバラバ14と18。 14は岩の壁に近づき、念入りに調べる。 「…分かるか?洞窟の跡だ…。バラバ15はどこへ行った?」 18が答える。 「バラバ15は、この先を調べている。別の洞窟らしき穴を見つけたそうだ」 フィレーナ達が入ってきたのとは反対方向の通路から、買人が入ってきた。 「旦那、遅すぎですぜ…、待ちくたびれましたよ…」 ラリスを見て、いつもの売人と違うと疑う買人。 代役だ!というと、話を先に進める。 ラリスが薬草の入った袋を渡す。「確かめさせてもらいますよ」 袋をうけとった買人は、数歩歩くと脱兎の如く逃げ出した。 「おい!金はどうした!?」追いかけるラリス。 買人はイカダを使って洞窟内を流れる川を渡り逃げてしまった。 「クソッ、はめられた!」 ラリスの後を追ってきた、フィレーナとリラ。 「逃げられちゃったわね…」 「人の足元を見やがって…。密売だから仕方がない…」 俺がバカだった、とラリス。 「人を信用するなっていういい教訓だったな。作戦本部に帰ろう」 409永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 10 03 ID awscL8O6 薬草をタダでゲットした買人は、不運な事に出口でバラバ15と鉢合わせ。 「死にたくなければ答えるんだ…」 15はフィレーナについて聞くが、買人が知るはずもない。 「そんな男は知りやせんよ…、あっしはここの村人と仕事を…」 「村!?ここに村があるのか!」 「はっ…、反乱軍の…村で…」 詰め寄る15。「反乱軍だと!!」 買人を壁に投げつけガンで始末すると、外のバラバ達に連絡する。 「バラバ18…聞こえるか。ヤツの逃げ場所が分かったぞ! それに大きなオマケもついた…」 村に戻ると、帝国軍がリトルラリテニアへ向かっているという噂が広がっており 皆が不安そうにしている。 作戦本部でアベルに、密売失敗しましたーと報告。 気にするなと言うアベルの言葉に甘え、隣室で休む3人。 早くにラリスに起こされたフィレーナとリラ。 事情を説明しようとしたところにアべルが飛び込んでくる。 「ラリス!帝国の軍隊だ…、今、レーダービジョンに…」 「…、……!」 会話を聞いて、フィレーナが訪ねた。 「どうしたんだ、ラリス!」 「出入り口を閉ざしたはずのラリテニア洞窟が発見されたんだ…。帝国のヤツらにな…」 アベルは、いち早く村の女子供を山の上に逃がしていた。 ラリスが頷く。子供たちが生きていれば、ラリテニア復興の火種は消えない。 アベルは、ラリスと挨拶をかわすと、部下を連れて部屋を出て行った。 410永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 10 53 ID awscL8O6 フィレーナとリラに状況を説明するラリス。 「レーダービジョンによれば、この村に向かっている帝国軍隊は 大隊1つと中隊3つ…」 多すぎる。村も人も全て潰す気だ、と舌打ちする。 フィレーナはまた自分を責める。 お前のせいじゃない、いずれ時間の問題だったんだ、とラリス。 リラが慌てた。フィレーナが自分の包帯を外そうとしている。 「ダメよ!包帯をとっちゃ!完全に治らないうちに光が入れば失明するって…、……」 包帯を外したフィレーナ。 「…ボクも闘う…!」 目を開くフィレーナをリラが見つめる。 フィレーナは瞬きをするとリラに言った。 「リラ…、よく見えるよ!」 フィレーナの瞳は回復していた。 初めて顔を見たラリスが、綺麗な目だ、男にしとくのもったいないと褒めた。 「殺すのも勿体無いな!」 先ほど出て行ったアベルが一人の部下を連れ戻ってきた。 「アベル…?」 その後ろから別の部下がヨロヨロと追ってくる。 「ラリスさん…!気をつけて…、そいつらは…」 アベルの部下が蹴り倒し、そして言った。 「お前たちの仲間と同じように、名もなく消えてもらおうか…」 アベルたちが変装を解き、バラバが2人現れた。 「黒い悪魔…!」フィレーナの声。 ラリスはフィレーナとリラを連れ、奥の扉へ入ると追ってこれないよう中から閉ざした。 階段をおり、トロッコのレールが敷かれている洞窟を進む。 411永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 11 52 ID awscL8O6 途中でフィレーナの足が止まった。 「フィレーナ…、どうした?」ラリスの声にリラも振り返る。 「ラリス…、どこに行こうとしてるんだ…」 「どこって…、お前等を逃がすために…」 「ボクにも戦わせてくれ!」 戻ろうとするフィレーナをラリスが押しもどす。逃げろと言う。 「俺たちの村は俺たちで守る!」 「しかし…」 「お前はボーに行くんだろ!それに…、生きていてほしいんだ… 何故だか分からないが、お前には生きていてほしいんだよ!」 押し合っているうちにフィレーナの胸に触ったラリスが驚きの声をあげる。 また胸でバレた。 「そうだったのか…」 後方で見守っていたリラがフィレーナの腕を取る。 「フィレーナ…、行きましょ!ラリスさんの好意を無駄にしないで…」 そこまで言うと、フィレーナの顔が赤い事に気づく。 ついでにラリスも見るとこちらも赤い。焦りながら足早に進んでいった。 二本のレールのある場所でラリスに追いつく。 トロッコに乗るよう指示するラリス。 足を向けたものの、フィレーナは振り返る。 「ラリス…、ボクは…」 ラリスはフィレーナの言葉を遮ると、背を向けた。 「ようやく分かったよ… お前を見るたびに俺の胸がどうにかなりそうだった訳がな…」 412永遠のフィレーナsage2005/05/29(日) 23 13 20 ID awscL8O6 バラバの声が聞こえた。 「見つけたぞ!!」 「ヤツラが来た!早くトロッコを出すんだ」 ラリスの名を呼ぶフィレーナに、早く行けと叫ぶ。 フィレーナとリラをのせたトロッコはゆっくりと発車し、トンネルの中に吸い込まれていった。 追いついてきたバラバ14と15。 ラリスは二人の前に立ちふさがるが、壁に叩き付けられる。 バラバ達はもう一つのトロッコに乗り込み、フィレーナ達の後を追った。 並走するバラバとフィレーナ達のトロッコ。 途中2手に別れたり、また戻って並んだりしながら若干バラバトロッコの方が追い越しながら走る。 トンネルに入り、外に出ると、両方のレールは真ん中でぷっつりと途切れていた。 先に飛ぶバラバトロッコ。向こう側につくものの微妙に足りず 飛び移れなかったバラバ15もろとも谷底に落ちていく。 フィレーナ達の乗ったトロッコは問題なくレールの先に着地。 だが残った14が武田鉄也ばりにトロッコの前に飛び出し、根性で止めた。 「フィレーナ!ここまでだ!」 戦闘開始。ボコる。勝利。 息を切らせながらリラに安否を問うフィレーナ。 「えぇ…、何とか生きてるわ。…フィレーナ、何してるの?」 トロッコのレバーをいじくるフィレーナ。動かない。 「貸してっ!おりゃ!」 「うわっ!」 急速発進するトロッコ。 しばらく走ると、今度は先のないレールを行き過ぎて止まった。落ちた。 トロッコから投げ出され、気を失った二人を老人が発見する。 「あんれまあ…、こんなところで寝てるとクレチア狩りに襲われるべ」 意外とパワフルなじいちゃんは二人を引きずって帰宅した。 457永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 34 17 ID i/hYkze7 目を覚ますと、見知らぬ家だった。隣のベッドでリラが寝言を言っている。 「元気になるまでゆっくり休んでいきんしゃい」 親切な老人夫婦に介抱してもらったらしい。 首都ボーへ行く方法を尋ねると海を渡る必要があるらしい。 ここより北の村モンシューレから帝国の船が出ていると教えてくれた。 じいちゃんはラリテニアン(ラリテニア人)で、帝国の世になってからは ばあちゃんとひっそり暮らしているという。 目を覚ましたリラと共に、老人夫婦に礼を言ってモンシューレを目指す。 元軍事基地・モンシューレ。 乗船するには、航海管理所で許可証を貰わなくてはならないが 当然クレチアの2人に発行してくれるはずもない。 宿に泊まれるのも乗船客だけだというので、親切なクレチア女性の家に泊めてもらう。 翌日泊めてもらった礼を言うと、定期船に密航するヒントを教えてくれた。 村の井戸から繋がった通路を通って、船に近づけるのだという。 かなり深い井戸らしいので、ロープが必要らしい。 街中にそれらしいものはなかったので灯台へ探しに行ってみる。 灯台には帝国人民達が物見遊山に来ていたが、汚れた海を恐ろしいと怖がっている。 話したがりのおっさんから、色々な話を聞いた。 帝国が作った定期船や灯台は、海の民の技術を真似したものだったが どれも成功しなかったと言う。 戦艦として作った船→海上で戦えずやむなく定期船に。 この灯台→光らない。だから夜間、船は海を進めない。 海の民の技術は特別なものらしい。 何故かおっさんの背後にあったエレベーターを使って地下室へ。 458永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 35 20 ID i/hYkze7 リラが何かに足をとられ、悲鳴を上げてすっ転んだ。 「じっとして…」 リラの足に絡みついていたロープを痴話喧嘩しながらゲット。 街の深い井戸にかけ、降りていく。 通路を上り下りしながら進んでいくと、出口と思われる場所から男が一人出て行った。 フィレーナ達と同じ密航目的のクレチアだろうか。 海岸に出て辺りの様子を伺うと、ちょうど見回りの兵士たちが船に戻っていくところだった。 こっそりと船に近づいていく。急に警報音が鳴り響いた。 慌てて身を隠すと、先ほどの男が兵士に連行されて船室から出てくる。 「またクレチアの反逆者か!ゆっくり自白させてやるっ」 建物内に連れて行かれる男と兵士。 他の兵士たちも休憩やーと船から降りていった。 「何とか助けたいところだが、時間がない!リラ、早く乗りこもう!」 密航成功。 バラバ室。 通信機で会話をしているバラバ1。 ラリテニア反乱軍なぞ放っておいてフィレーナを探せと通信機に怒鳴った。 3「ヤツであると断定はできんが、モンシューレ村のクレチアの家に 見知らぬ旅人が泊まっていたらしい… 定期船に密航しようとした者から自白マシンで聞き出した情報だ…」 1「それは信用できる情報か…!?」 3「定期船ドックの軍隊長に変身しているバラバ19からの報告だ…」 459永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 36 03 ID i/hYkze7 船はモンシューレから出航する。でも夜間なので海上で停止状態と思われる。 堂々と部屋で休むフィレーナとリラ。 リラが隣のベッドのフィレーナに話しかけた。 「フィレーナ…、起きてる?」 「ああ…、起きているよ…」 「波の音…、聞こえる…?」 「ああ…、聞こえるよ…」 「とっても静かな夜ね…」 再び名を呼ぶリラにフィレーナが答える。 「何だい…?」 「そっちに行ってもいい…?」 沈黙。 静かにベッドから起き上がるリラ。 「リラ、不安なのかい?心配はいらないよ… この船に乗っているって事が乗船許可が出ている証明なんだ…」 疑われる心配はないよ、というフィレーナ。 リラはわかってる、と答える。 「ただ、あなたの近くにいたいだけ…」 それだけ言うとリラは、フィレーナのベッドに潜り込んで眠った。 次の日、船は海岸に到着した。 陸地を北東に上って、鉱山の村にたどり着く。元の名前はエルシューレ村。 帝国の支配下に入って以来、鉱山の村と、兵器を作るトマの村の二つに分けられたそうな。 460永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 36 44 ID i/hYkze7 ボーへ行きたい→トマの村通らにゃ→入り口に見張りいる→証明がないと通せないネー …という事で鉱山の現場主任のレパードに 証明である「アルメイの星」を発行して貰おうとするが、断られる。 鉱山の労働者にしか発行できないらしい。 仕方なしに宿屋に戻ると、ラリスの仲間だという女性に話しかけられた。 リトルラリテニアから、フィレーナ達と同じく密航し 夫は鉱山で働きながら帝国の仕事をスパイ中だという。 鉱山で働く彼女の旦那ヌーノに会いに行き事情を話すと アルメイの星を発行してもらえるよう、レパードに頼んでくれるとの事。 ヌーノの口利きで、2人は来月から鉱山で働くという話になっており レパードから証明のアルメイの星をゲット。 宿舎の老人曰く『トマの村、兵器開発で毒ガス充満、これ危険(要約)』らしいので 道具屋で防護服を買っていく。門番兵にアルメイの星を見せてトマへ向かった。 村に到着。 毒ガス吸ってアヒャヒャな住人が走ったりしてる。 当初の計画では、この村を通ってボーへ向かう予定だったのだが この村、出口がない。 トマの宿舎で暮らしている少女クシカが 「鉱山の村に住んでるおじいちゃんなら知ってるかも」と教えてくれた。 どうやら毒ガスについてアドバイスをくれた老人の事らしい。 鉱山の村に戻り宿舎の老人に会いに行く。 老人曰く「あの村出口なし、孫にヨロシク(要約)」 力になれんですまんの、とじいちゃんは謝った。 仕方ないのでトマに逆戻り。 461永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 37 47 ID i/hYkze7 クシカに会いに行くと不在だった。 どうやら子供の遊び場になっている村の廃屋(元宿舎)に行ったらしい。 追いかけるフィレーナとリラ。そう、じいちゃんのヨロシクを伝える為に。 屋敷内。奥の扉に入ろうとすると村の子供が飛び出してきた。 続いてクシカも出てくる。2人を見て不思議そうな顔をした。 フィレーナが子供たちに尋ねる。 「こんなところで、一体何をしてるんだい…?」 「何って…、みんなでかくれんぼしているの…」 よく見ると、他にも何人か子供が顔を覗かせている。 リラは幽霊屋敷を不気味がるが、クシカにからかわれる。 「デタ━━━(゚∀゚)━━━!!」 地下の階段から上がってきた人影に子供達が叫んだ。 バラバ室。 フィレーナと医者にはまだ捕まらない。ラリテニア反乱軍ともゴタゴタしている。 バラバ1はご立腹である。 「秘密実験に参加させるために医者を生かしておこうと言ったのは バラバ9、確かお前だな!」 「まさかヤツが逃げるとは…」と言い訳する9。 キルは自分が逃亡する際に、実験用に捕らえていた子供も連れて行ったのだ。 フィレーナ達の足取りは、モンシューレ村から掴めなくなった。 一緒に逃亡したハズのバトル作家とクレチア女ミリカの行方も知れぬまま。 3 「医者とガキの足跡は、掴んでいる… バラバ16と17の報告によれば、発見するまでにそう時間は…」 1 「その報告ならすでに聞いている! 俺が言っているのはもう失敗は許されんということだ! 脱走した医者が関わった秘密実験もフィレーナが分析機から知った情報も 我が帝国の最高機密なのだぞ…!」 ふと疑問に思った3が、フィレーナが知った最高機密について1に尋ねた。 1は答えた。ブレーン様しか知らんし、知る必要もないと。 462永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 38 47 ID i/hYkze7 一方幽霊屋敷。 地下室からのっそり上がってきた人影を見て、クシカも悲鳴をあげた。 リラと子供たちはフィレーナの後ろに隠れる。 黒い人影が怒鳴った。 「誰がユーレイじゃ!ワシはまだ生きておるぞ!」 現れたのは、デラシーナで別れたドクターキルだった。 フィレーナを見て、目が治ったことを喜ぶキル。 「しばらく見ないうちに女っぽくなったのう」 そう褒めた後で、明らかについでにリラも可愛くなったと付け足す。 ジト目で見て、キルに詰め寄るリラ。 「…男のフィレーナのほうが、私よりも女らしいって言うの!?」 リラをなだめるフィレーナ。キルは事情を話す為に2人をつれ地下室へ降りていった。 好奇心旺盛なクシカがその後を追い、他の子供たちは帰っていく。 そして男が1人、屋敷に入ってきた。 地下でキルの経緯を聞く。 デラシーナで別れた後、帝国の秘密実験から逃げてきたのだと言う。 話の内容がよく分からないクシカ。 キルはクシカを見ると、思いついたように物陰に隠れている子供に声をかけた。 「ぼうず…出ておいで。大丈夫だ…悪い人たちじゃないよ…」 ゆっくり姿を見せる幼い男の子。 逃げてくる時に、一緒に連れてきたのだと言う。 「まったくワシになつかんでな。名前すら教えてくれんのだよ」 「だっておじちゃんの顔、こわいもん!」 クシカはそう言うと、男の子に優しく話しかけた。 その様子を見ながら、やはり子供には子供だと言うキル。 出てきた男の子の顔を見たフィレーナは驚いた。 「…フィス?フィスじゃないか!」 リラも気がついた。 男の子は、帝国に捕まっていたミリカの息子フィスだった。 463永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 39 24 ID i/hYkze7 「お父ちゃんを返せ…」 フィスがフィレーナを叩く。 様子がおかしいと気づいたキルが声をかけるが、フィスは目の前の相手を睨んだままだ。 「お母ちゃんは…?お母ちゃんはどこ!?」 屋敷一階。 後から入ってきた男が、一階に火を放っていた。 どこかに通信を入れる。 「聞こえるか…?逃げられた場合に備えてそこで待機していてくれ… 相手は2匹だけじゃなかった…。とんでもない大物を見つけたぞ!」 フィスはフィレーナに詰め寄る。 「嘘つきっ!」 「フィス…信じてくれ…。フィス!」 階段を駆け上がり1階へ走るフィス。後を追うクシカ。 苦い顔のフィレーナをキルが慰める。 ふと思いついたリラ。 「ところでキルさん…逃げてきたって言っていたけど、いったいどうやってこの村に?」 キルが説明しようとした時、クシカが駆け下りてきた。 「大変!火事よっ!!」 「火事?……ぼうずは?」 クシカは首を横に振る。火の手が地下にも迫りつつある。 「もう上の階は火の海だな…」キルがそう呟いた。 1階では、バラバがゲットしたフィスを引きずって屋敷を出るところだった。 464永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 40 06 ID i/hYkze7 本棚の裏の隠し扉内に避難しながら、黒い悪魔と機密情報兵団について キルに説明するフィレーナ。いぶかしむキル。 「仮にそうだとしても、何故この宿舎にまで火をつける…?」 「ただの火事に見せかけて、都合の悪い者を人知れずに消す… それが黒い悪魔の手口なんです」 今までのストーカーされた経験からそう答えるフィレーナ。 多くの危険を背負い込んで、何故ボー行きに拘るのか。 そう尋ねるキルにフィレーナは答えた。自分の宿命だと。 キルは決心を知ると、くれぐれも無理はせんようにと言った。 隠し部屋内にある梯子から、地下を通って外に出られそうだ。 フィレーナはキルとクシカに、火事がおさまるまでここにいるように言った。 「ボクたちはボーへ向かいます」 リラが自分たちが使っていた防護服を手渡す。 キルは2人を見た。 「フィレーナ…リラ…。わしは2人の事が…大好きだ! 自分の子供のようにさえ思える。命を無駄にせんでくれよ!」 「ドクターもお元気でっ」 「また会えたら、かくれんぼしようね!」 クシカの言葉にリラが笑顔で頷く。 2人は地下を通り抜け、やがて出口を発見した。 465永遠のフィレーナsage2005/06/03(金) 20 41 16 ID i/hYkze7 バラバ室。 通信機から連絡が入る。 「…間違いない、フィレーナも一緒だった!」 1 「バラバ16、でかしたぞ! 地下道の出口には誰がいる?」 16 「バラバ17がいる…!」 1 「バラバ16、後の仕事はバラバ17に任せて お前はそのガキを早く実験室へ…」 外へ出ようとしたフィレーナとリラの前に待ち伏せていたバラバ17が現れた。 こんストーカー!とばかりにボコる。勝利。 「リラ、大丈夫か?」 「心配しないで…」 しかしバトラーのフィレーナはともかく、リラの疲労は激しく足取りは重い。 数歩先で立ち止まり、振り返るとフィレーナは言った。 「…ボーへ行く前に、泊まれるところを探そう…」 何かを察したリラが、フィレーナに詰め寄る。 「そんな事言って、1人でボーに行くつもりでしょ!」 「いや…そうじゃ……」 言い終わる前にフィレーナに抱きつく。 「リラは離れないわよ!だって、あなたの奥さんだもの…」 必死でしがみつくリラを離そうとするが、離れない。 困って「女同士なんだからさ…」と言ってみる。 「い・や・よ…!」 根負けした。 「分かったよ…!一緒にボーに行こう」 顔を輝かせ、フィレーナから離れるリラ。 「ホント?ホントね!」 喜ぶリラにため息をつくフィレーナだった。 49永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 00 21 ID TzIYx1ZY 海岸に沿って南下していくと、浜辺にいる女性と黒い大きな犬に出会う。 リラが話しかけてみる。ここはエルシューレの内海岸らしい。 黒い犬がフィレーナに近寄り、匂いを嗅いでいる。 女性がフィレーナを見た。 「へえ、あんた…。男の姿をしているけど女なのかい」 「こ、この人は私の夫なのよ…!?」 リラがごまかそうとするも、狼犬の目(鼻)はごまかせないと笑われる。 「このギャッピーはね、オオカミの血を引く犬なのさ」 女性は、アマネラと名乗った。 草原に男たちが集まっている。クレチアを狩るハンターの集団だった。 1人が仲間達に呼びかけた。 「リーダーが全員集合しろってよ! やはりこの近くにクレチアどもが集まっているらしいぜ?」 海岸。 ボーに行きたい事を話したフィレーナ。 「無茶をするねぇ…」 アマネラは呆れながらも、困ったことがあったら 自分たちの遊牧民の集落に来るように言ってくれる。 リラは、アマネラの腹のふくらみに気がついた。 「アマネラさん…そのお腹…」 「もうすぐ産まれるんだよ」アマネラは笑顔を見せた。 クレチアはあらゆる人権を帝国に奪われている。出産も許可なしではNG。 「出産の許可かい…?そんなひどい決まりはまっぴらごめんだよ! クレチアだって人間なんだ。人を愛すれば、子供も欲しいさ」 彼女の集落はそういうクレチア達が集まって構成されたものだった。 「私の友人だといえば、集落の中に入れるように言っておくよ」 そう言い残しアマネラはギャッピーを連れ、去っていった。 50永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 01 29 ID TzIYx1ZY 遊牧民アマクネ族の集落。 勇敢な男性はモンスターやハンターと戦って死んでいったため数が少なく 残った男達はちょっと情けない。女性の方が戦士な集落。 中に通してもらうと、アマネラが迎えてくれた。 身体を休めていけというのでお言葉に甘える。 彼女は、フィレーナ達が都に入る方法も考えてくれていたらしく 1人の知り合いの老人の名をあげる。 「詳しい話は、明日あたしのテントで」 次の日、アマネラのテントを訪ねると彼女の様子がおかしい。 リラがその枕元に駆け寄る。 入り口からアマネラの友人、エクレが入ってきた。 「心配することじゃないよ。病気なんかじゃないさ」 苦しい息の下でアマネラは笑う。 「この…アマネラさんをこんなに苦しませるなんて…きっと、タフな子だよ」 どうやら産気づいたようだ。 リラが、慌てるフィレーナを落ちつかせるために言った。 「大丈夫よ…。私、一度お産を手伝ったことあるの… 苦しそうに見えるけど、皆こういうものなのよ」 エクレが励ます。リラも励ます。 フィレーナは別の方を向いていたが、アマネラに見ていってくれと頼まれる。 「クレチアだって、立派に…子供が産めるってことを…ね」 フィレーナはアマネラの傍らに座った。 51永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 02 28 ID TzIYx1ZY バラバ室 また逃げられてお怒りの1となだめる3。 「落ちつけバラバ1…。ヤツは何か目的があるに違いない! ただ逃げ回っているだけとは思えん」 1は頷くと、バラバ21の報告を聞いた。 21 「ゴア橋の近くで発見した死体は仲間の女クレチアに間違いない… 秘密研究所からの報告によれば、トマで見つけたモルモットのガキは その死体の子供だったらしい…」 バトル作家と医者の行方は未だに不明。1はフィレーナを先に探し出すように命じる。 通信機に別のバラバから連絡が入った。 「バラバ25より報告…。デビス陸軍隊とラリテニア反乱軍が ただいま全面戦争に入った……。聞こえるか、どうぞ…」 集落に響く赤ん坊の泣き声。 「アマネラさん、女の子よ!元気な可愛い女の子よ…!」 リラが疲労困憊のアマネラに報告する。 母となったアマネラは、我が子を見て言った。 「この子が子供を産む頃には、クレチアでも帝国人民でもない ただの元気な子を産める世の中にしたいもんだね…」 リラは頷き、2人の言葉にフィレーナは考え込んだ。 「出産ってなんて素晴らしいのかしら…」 リラは生命の誕生に目を輝かせて感動している。 赤ん坊の声を聞き、テントに顔を覗かせたギャッピー共々 アマネラを休ませるため、エクレに追い出される。 テントを出ようとするフィレーナとリラに、アマネラが礼を言った。 52永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 03 23 ID TzIYx1ZY アマネラが休養中のため、しばらく集落をブラつく。 東のピルキット山を登っていくと、見張り役の女性が駆け下りてきた。 「大変だ!アマネラさんに知らせないと…!」 そのまま集落まで降りていく女性についてアマネラのテントへ。 赤ん坊を残して、寝床はもぬけのカラだった。 エクレが言うには、報告を受けたアマネラは様子を見に 山を登って行ったそうな。タフだ。 追いかけようとテントを出ると、ギャッピーが心配そうに鼻を鳴らしている。 「ギャッピー…アマネラさんはどこ?」 キュンキュン鳴くギャッピー。 フィレーナはリラに言った。 「アマネラさんは、クレチアハンターの噂を聞いて、あの身体で調べに出て行ったらしい」 別の意味で驚くリラ。 「あなた…ギャッピーと会話もできるの?」 「クォン…クォン…」 「わかったよ、ボクらだって心配さ…!」 フィレーナはギャッピーの視線の先を見た。 「あっちの山に向かったみたいだな…よし、行こう!」 ギャッピーを手に入れた! オリゴット山に登ると、ギャッピーが中へ入って鼻を鳴らす。 アマネラの声が返ってきた。 「ギャッピーじゃないかっ!集落から出ちゃいけないとあれほど言ったのに…」 53永遠のフィレーナsage2005/06/11(土) 15 04 17 ID TzIYx1ZY 出てきたアマネラは、フィレーナとリラを見てさらに驚く。 「アマネラさん、ここにはクレチアハンターが…」 「知っているよ、だけど助けは必要ない」 みんなを巻き込みたくないというアマネラ。 あんたらも集落へ戻り→出産直後で無茶言うなや→心配いらんて→いや手伝うって そんな問答をしていると、洞窟内の様子を見に行ったギャッピーが戻ってきて低く唸る。 「来たか!!」 アマネラと赤ん坊を気遣うリラ。 「そんな体じゃ無理よ…私たちも一緒に闘うわ! それに…あなたにもしものことがあったらボーにも行けなくなっちゃうしね…」 「…ありがとう」 アマネラは静かに礼を言った。 山の中腹でアマネラが膝をついた。 「アマネラさん!やっぱり出産の疲れが…」 「なんのこれしき…、大丈夫さ…」 ギャッピーが前方に向かって低く唸った。男の集団が降りてくる。 リーダーがアマネラを見た。 「これはこれは…、アマクネ族の若き女族長さんか?」 アマネラはクレチアハンターを睨む。帝国の犬どもめ。 「まったく威勢のいい女だ。その強気をどこまで通せるかな?」 ボコる。勝利。 「ヤツら、リーダーを失って慌てふためくだろうさ。これで集落はしばらく安全だ…」 一緒に闘ってくれて、嬉しかったというアマネラ。 ギャッピーがフィレーナに何か言っている(犬語で)。 「フフッ…、ギャッピーも2人に感謝してるってさ! さあ、集落に帰ろう」 Part2
https://w.atwiki.jp/ntcc/pages/43.html
トピックス これまでの出来事やニュースなどをまとめています。 NEW! DPC-Racing Renault、今季限りで撤退を表明
https://w.atwiki.jp/karanohana/pages/57.html
「ジルくん、お兄さんから仲直りに丁度いい物をあげましょう」 「なんで俺が仲直りするのに物まであげなきゃいけないんですか」 胡散臭そうに怪訝な表情で視線を箱から動かさずに、それでも中身が気になるのか ジーベルが箱を手にとり軽く振ってみる。カサカサと小さな音が聴こえた。 「スラさん、それ中身何が入ってるの??」 「花ですよ?」 「・・・ただの花、ですか」 わりとありきたりな答えが返ってきたので、肩透かしをくらったように眉をひそめて黙る。 渡すかどうかはともかくとして、とりあえずくれるのなら貰っておこうとジーベルが思った時 「私、箱に入ってる花って初めてみるなぁ」 いつもは紙に包んで売ってくれるとマルーが言った。 それを聞いてエルクも言う。 「箱に入ってるって、よっぽど高級な花とか?」 「普通の花ですよ?」 「でも、プロの花屋さんで買ったとき箱に入れてもらったことないよ?」 「モロクみたいに暑い地域だとすぐ枯れるから、花を贈るときには こうして箱に入れたままなんですよ?」 「え? そんな話初めてききますよ俺」 「本当ですよ?」 笑顔を貼り付けたまま返されたが、なんとなくみんな止まって押し黙る。 無言のままジーベルが箱を開けてみると、中には見事な真紅のバラが一輪あった。 ← →
https://w.atwiki.jp/zenmaitako/pages/608.html
《エピック級スタッフ作成》[アイテム作成][エピック]Craft Epic Staff 君はエピック級のパワーを持つ魔法のスタッフを作成できる。 前提条件: 《スタッフ作成》、〈知識:神秘学〉35ランク、〈呪文学〉35ランク。 利益: 君はスタッフについて、その通常の制限(『ダンジョン・マスターズ・ガイド』に記載がある)を超えたものを作成できる。たとえば、9レベルよりも高い呪文を発動するスタッフや、+5を超える強化ボーナスを持つスタッフを作成できる。 エピック級のスタッフの例は『Epic Level Handbook』の「第4章:エピック級の魔法のアイテム」参照。 出典: 『Epic Level Handbook』p.52 関連項目 特技
https://w.atwiki.jp/chipmunk1984/pages/134.html
ビッグ・ウォーズⅠ 神鳴る永遠の回帰 書名: 神鳴る永遠の回帰 著者: 荒巻 義雄 イメージをクリックするとamazonに進みます 紹介 二十五世紀、人類はかつて“神”として自分たちの上に君臨した者たちと大戦に突入していた。太陽系を植民化しようとする人類、これを阻むために銀河系外から飛来し、水星を要塞とする神々。人類と神々はすでに対等だった。私ハイパー・マグドナルドも地球防衛軍に志願、大戦に加わり、同僚の浄土一成らと共に人体強化処置を施されて、神々の砦・水星を目差した…。スペース・オペラ巨篇。 評価 評点:★★★☆☆ ( 5/10点) (これはビッグ・ウォーズシリーズ全体の評価です.) 荒巻 義雄が仮想戦記シリーズに行ってしまう前,まだSF作家だった頃(?)のスペースオペラ大作.どこかでも書いた気がしますが,本当にスペースオペラは難しいと本当に思いました.『神人戦争』や『人体強化処置』といった設定は面白く,ディテールにはそれなりの工夫があるのですが,話が進むにつれ,作者の後年の行き先を示すかのようになんだか第二次世界大戦の戦記物みたいになってしまって,なんだかなぁというのが率直な感想です.巻末の年表など,それなりに世界を練ってはいるようですが残念ながら作品には活かされていないようです.登場人物のネーミングが安直に見えるのもちょっと損ですね. おまけ 主人公の名前だけはちょっと工夫がありましたね.普通に読んでいたら気がつきませんよ.